2025.05.30
60代男性・右片麻痺 「動かない」と思っていた右手が動いた日
滋賀県守山市にあります「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
脳卒中後遺症の方で麻痺した手のことでお悩みの方は多くいらっしゃいます。
「歩きは良くなったけど、手が……」
こんなお話をよく聞きます。
今回は麻痺側の手に関するご利用者様のお話を紹介させていただきます。
◆ 「動かない」と思い込んでいた右手と、いやいや始まった体験リハビリ
60代の男性。右片麻痺のある方です。
リハビリのきっかけは、ご利用者様の希望というよりも、ご家族様の強い後押しでした。
「どうせ動かない」「やっても意味がない」
そんな思いの表情で、かなり気乗りしない様子で、初回の体験リハビリに来所されました。
それでも、ご家族の期待に応えるようにリハビリベッドに腰をかけ、リハビリは静かに始まりました。
◆ 体験中に起きた——「少しだけ動いた」右手
そのリハビリの中で、思いがけないことが起きました。
「もう動かない」とご利用者様が思い込んでいた右手が、ほんの少し、動いたのです。
その瞬間、目がふっと見開かれ、驚きが表情ににじみました。
言葉はなくても、その顔がすべてを物語っていました。
私たちも、ご家族様も、その小さな動きに希望の灯がともったのを感じました。
◆ 月2回の継続利用へ——鍼灸とリハビリの併用アプローチ
初回体験以降、ご利用者様の表情や姿勢に少しずつ変化が表れました。
体験プログラム終了後は、月に2回のペースで当施設をご利用いただいています。
今月は、なんと2日連続のご利用でした。
右上肢や指の強い緊張に対しては、鍼灸治療で筋の硬さをやわらげ、
並行して体幹の捻れをとり、左右対称に近い姿勢がとれるようなリハビリを行いました。
その後に右手・指の活性化プログラムを実施しました。
◆ 「買い物が好き」その想いに寄り添って——両手を使った動作
この日のリハビリの終盤には、ご利用者様が好きな「買い物」の場面を模した両手動作を取り入れました。
日常では、かごを持つのも、商品を取るのも、すべて左手でこなしておられるとご家族様からお話を伺いました。
そのため、買い物用のかごをあえて右側に差し出し、右手に自然と誘導してみました。
すると、ご利用者様は戸惑うことなく、右手でかごを持ってくださったのです。
そして、何種類かのパンを並べたテーブルの前へ。
最初の数個は左手で取っていましたが、
最後の1個の前で、左手にかごを持ち替え、右手でパンを取ったのです。
その手はまだぎこちなく、不安定さもありました。
でもその動作には、ためらいのない意志と確かさがありました。
私たちスタッフも、ご家族様も、
その瞬間を目の当たりにして思わず顔を見合わせ、
言葉にできない喜びが込み上げました。
◆ 失語があっても、表情が語る——そしてこぼれたうれしいひとこと
この方は、失語症があり会話は難しい方です。
けれど、いつも表情で想いや感情を伝えてくださいます。
そしてこの日、お帰りの前に
ふっと笑って、ぽつりとこう言われました。
「パン、楽しかった」
その言葉に、私たちも、ご家族様も、胸がじんわりと温かくなりました。
その一言には、
「動かせた」「できた」「嬉しかった」——たくさんの想いが詰まっていたように感じます。
◆ まとめ “できるようになる”だけじゃない。心が動くリハビリを
リハビリで取り戻せるのは、「動き」だけではありません。
「自分にもまだできることがある」
「もう一度、挑戦してみよう」
そんな心の動きこそが、前に進む力になります。
言葉では語らなくても、表情やしぐさから伝わってくるものはたくさんあります。
その一つひとつのサインを丁寧に受け取り、
これからも、その人らしさに寄り添うリハビリを続けていきたいと思います。
脳梗塞リハビリステーション滋賀では、お一人お一人にあわせた自費リハビリを提供しています。
毎月先着5名限定 特別体験プログラム3回11,000円を行っております。
まずはお気軽にお問合せ、お申込みくださいませ。
2025.05.21
脳卒中後、2ヶ月でお墓参りへ──自費リハビリで叶えた“会いに行く”という目標
脳梗塞リハビリステーション滋賀の小林です。
この季節に思い出す、最初のご利用者様。
脳梗塞リハビリステーション滋賀が6年前にオープンしたばかりの春。
今でも、あの方との出会いと卒業を毎年この季節に思い出します。
その方は脳卒中で入院中、大切な人との別れ。
ご本人は脳卒中の入院中に、大切なご友人の訃報を聞かれたそうです。
けれど、入院中だったため、お別れに行くことができませんでした。
退院後、ご本人が最初に語った目標は――
「一周忌までに、自分の足でお墓参りに行くこと」。
私とのカウンセリングの場で、「2ヶ月後に、東北にあるお墓へ行きたい」と
まっすぐな想いを打ち明けてくださいました。
初回評価「歩行には不安が残る状態からのスタート」
普段はT字杖で30分~40分ほど散歩されていましたが、初回評価では次のような課題が見られました。
左麻痺側に十分な加重ができない
下肢筋力の低下
股関節や膝関節、足関節のこわばり
体のねじれにより左右バランスが乱れている
「歩くための土台」がまだ整っていない状態でした。
リハビリ内容「歩く準備から始めた2ヶ月間」
私たちが最初に行ったのは、「歩行練習」ではなく“歩ける体づくり”でした。
麻痺側の筋肉をほぐし、関節を柔らかくする
骨盤や体幹の左右バランスを整える
体重を左足にかけやすくするため環境設定とハンドリング
下肢筋力を高めるための個別トレーニング
こうして少しずつ歩きやすさが実感できるようになり、
目標に向かっての道筋が見えてきました。
目標達成「2ヶ月後、東北へのお墓参りへ」
リハビリ開始から2ヶ月後、ご本人は電車を何本も乗り継ぎ、
無事にご友人のお墓参りを果たされました。
私にそのことをお話される表情は、晴れやかで、どこか安堵したような印象だったのを覚えています。
リハビリ卒業の日「心に残った「相棒」という言葉」
卒業の日、ご本人から丁寧なお手紙をいただきました。
その中には、こんな言葉が書かれていました。
「目標達成のための、最高の相棒でした。」
その一文に、胸が熱くなりました。
ただ歩くためではなく、「会いに行く」ためのリハビリ。
その想いに寄り添いながら、同じ時間と気持ちを過ごせたこと。
今でも、心の中で大切にしています。
おわりに「リハビリの本当の意味を、教えてくれた人」
リハビリは、機能の改善だけではなく、
“何のために”という目的があるからこそ、力になる。
あの春、最初のご利用者様が私たちに教えてくれたこと。
これからも、1人ひとりの「会いたい」「行きたい」を支えられる施設でありたいと思います。
脳梗塞リハビリステーション滋賀では、お一人お一人にあわせた自費リハビリを提供しています。
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2025.05.19
「また一緒に歩いて出かけたい」──70代女性が取り戻した日常の一歩
滋賀県守山市にあります自費リハビリ「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
今回は自費リハビリと訪問リハビリの相乗効果があった方の事例をご紹介させたいただきます。
「もっと歩けるようになりたい」
そうお話しくださったのは、70代の女性。
胸腰椎の圧迫骨折をきっかけに歩行が不安定になり、週1回の訪問リハビリを続けておられました。
でも「もっとリハビリをがんばりたい!」「前みたいに歩けるようになりたい!」と強く思われていました。
その思いから、当施設での体験プログラムをスタート。
体験の結果、鍼灸は体質に合わず、週1回・60分、リハビリのみに集中されることになりました。
初めてお会いしたときは、体全体や下肢や足部のこわばりが強く、筋力も落ちていました。
そこでまずは身体や下肢をやわらかく整えることからはじめました。
そこから少しずつ筋力トレーニングや片足立ち等のバランス練習を取り入れ、歩くための準備を丁寧に進めていきました。
そんなある日の夕方、ご家族様から一本の電話がありました。
「今日、訪問リハビリの先生に『最近、体や足が柔らかくなっていて歩く練習がとてもやりやすい』って褒められたんです。
前の日にここでリハビリしてもらったおかげだと思います。ありがとうございます。」
その言葉に、私たちの胸もじんわりあたたかくなりました。
自費リハビリと訪問リハビリが、うまく組み合わさって良い影響を与えていることが、こうしてご家族の声からも伝わってきました。
最近では、ご家族様と一緒にお買い物へ歩いて出かけることもあるそうです。
「また一緒に歩いて出かけたい」──その願いに寄り添いながら、これからも一歩ずつ進むお手伝いができたらと思っています。
脳梗塞リハビリステーション滋賀では、お一人お一人にあわせた自費リハビリを提供しています。
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2025.05.14
「危ないから、引っぱらないでね」──奥様と一緒に練習した立ち上がりのリハビリ
滋賀県守山市にあります脳梗塞リハビリステーション滋賀の小林です。
脳卒中後遺症の方で、立ち上がりの時に手すりを強く引っぱってしまう方は多くいらっしゃいます。
あまりにも引っぱる力が強すぎると、危ない場面がみられることがあります。
今回は、引っぱる力が強すぎてご本人様、ご家族様が困っていらっしゃたケースをお伝えします。
脳出血で右片麻痺が残ったご主人様は、立ち上がりの際にどうしても非麻痺側の手で手すりを強く引っぱってしまう癖がありました。
ある日、移乗の介助中に、奥様を強く引っぱってしまい、二人で転倒しかけたそうです。
「もう少し自分で立てるようになってほしい」
「移乗のとき、お互いに危ないから、引っぱらないでほしい」
そんな奥様の願いとともに、リハビリが始まりました。
初回評価では、立ち上がりの時に手すりを強く引き、後ろに倒れそうになる場面も。
体も固く、両足に体重をのせることが難しく、お尻がなかなか持ち上がりません。
そのためますます、強く手すりをひっぱってしまい、動作が難しくなっていました。
ご本人様も「立ち上がるのが難しい」「引っぱらないと怖い」とこぼしていました。
立ち上がりという動作は、一日の中で何度も繰り返される大切な動きです。
だからこそ、その動きが「大変」「怖いもの」ではなく、「安心してできるもの」になってほしい。
奥様にとっても、ご本人様にとっても、もっと楽に、もっと安全にできるように。
そう思いながら、リハビリをすすめました。
鍼灸で体のこわばりをやわらげ、リハビリでは丁寧に、両足への体重移動を伴った立ち上がりの練習を繰り返しました。
また、ご自宅での移乗介助が危なくならないように、奥様にも介助方法をお伝えしました。
リハビリ終了後、帰りの車への移乗時、ご本人は奥様を引っぱらずに、自分の力で動作することができました。
そして翌週、奥様がうれしそうに話してくださいました。
「立つ前に“引っぱらないでね”と声をかけると、ちゃんと習った通りに立とうとしてくれるんです。介助もすごく楽になって、危なくもなくなって。本当に良かったです。。」
その言葉を聞いて、私たちはとれもうれしく、心が温かくなりました。
ご本人様の力だけではなく、ご夫婦の絆が、安心と安全につながったリハビリでした。
脳梗塞リハビリステーション滋賀では、お一人お一人にあわせた自費リハビリを提供しています。
毎月先着5名限定 特別体験プログラム3回11,000円を行っております。
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※使用している画像は実際の写真の内容に基づいて描いたイメージイラストです。
2025.05.09
「来年もまた会いたい」その想いがリハビリの力
滋賀県守山市にあります脳梗塞リハビリステーション滋賀の小林です。
「また、会いたいからがんばるね。」
ご利用者様は笑顔でそうおっしゃいました。
ご利用者様は4年前、小脳出血の後遺症でご利用がはじまった70代の男性。
娘様がお仕事の休みの時に付き添われ、月に3~4回当施設に通われております。
ご利用開始時の目標は「四国の実家に帰省したい」というものでした。
しかし、小脳出血の後遺症のため、バランスや歩行は不安定でした。
また、体の痛みの訴えもあり、日常動作もなんとか行えますが、一つ一つが大変そうでした。
お話を伺うと、四国までは、自動車での帰省。ホテルに泊まる為、狭いユニットバスでの入浴。
そのために必要だったのは、体の痛みの軽減と、車の乗り降りや浴槽またぎといった動作がスムーズに行えるようになることでした。
硬い体をほぐしたり、バランス、歩行練習などの地道なリハビリを重ねて、3年前、ついに四国の帰省が実現。
それからは、毎年1年に1度の帰省を続けられています。
先日娘様がふとおっしゃいました。
「父も年をとりましたし、父の兄弟姉妹も同じように年を重ねています。次があるかわからないですよね。」
「だから、会えるうちに会いたいのです。」
その言葉から、私も母のことを思い出しました。
元気なうちに会っておきたい、話したい、そう思いました。
「今」を大切にすることの尊さを改めて教えていただきました。
来年も四国の実家でまた「ただいま」と言えるように、ご利用者様はその日もリハビリに励まれました。
ご利用者様からリハビリは、ただの身体の機能回復だけではなく、「大切な人に会うための力」にもなることを実感させられました。
誰かの「また会いたい」を支える自費リハビリサービスをこれからも届けていきたいです。
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※本文はご本人様・ご家族様の許可を得たうえでご紹介しています。
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