2022.03.03
感じていることに気づく
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
「感じている」ことに気づく。
この大切さを先日ご利用者様と一緒に共有いたしました。
脳卒中後遺症のひとつとして感覚障害があります。
「自分の手足がどこにあるかわかりにくい」
「手で何かを触ってもわからない」
「足の裏が地面についているかわかりにくい」
このような声を沢山伺います。
先日、来所された脳卒中後遺症のご利用者様もこのようにおっしゃいました。
「左足(麻痺側)が地面についている感じがしない。」
「感覚障害があるから、足の裏が全然わからない」
左側をセラピストが触る前から「感覚障害だから、左側はわからない」と繰り返えされました。
しかし、セラピストがタオルで左手の指をこすると「あれ、待って。今タオルで指をこすられたところがわかった。」とびっくりしたような声をされました。
感覚が入ると、ご利用者様は「感じる」ことができたのです。
そこで、この日はご利用者様にご自身で動きながら「感じる」ことを行いました。
例えば、以前からご自分で行っているリハビリの動きの時に足のどこに体重が移動するかを感じてもらいました。
この時動作を性急に行おうとされたので、ゆっくとり感じながら行うようにお願いしました。
また、左側に動いた時には体のどこに体重が移動し、支えているのかを感じ、探っていただきました。
「前に体重を移動するときは、両足に体重がかかるのがなんとなくわかってきた。」
「左に体を動かすと、左に動いた感じや、お尻や足に体重がかかるのがわかった。」
時間をかけて繰り返し感じる練習をしていくと、ご自身で変化を感じ取ることが可能になってきました。
そこから立ち上がりを行うと、しっかり両足に体重をのせながらの動作になりました。
「あー、なんか来た時よりも左足がある感じがする、地面についている感じがする!」
「いい方と比べると弱いけど、それでも感じていた。左(麻痺側)も感じていることに気づきました!」
とニコニコとうれしそうな表情でその感覚を味わっておられました。
この方は「感じていること」に気づくことで動きがかわりました。
運動が変化するとういうことは、脳が感覚情報を取り込み、適切に処理をしたことの結果とも言えます。
「感じていることに気づくのは大切だね。」
リハビリの最後にご利用者様はそう力をこめておっしゃいました。
「家でもちょっとやってみるよ。忘れないようにするね。」とご自宅でのリハビリにも前向きでした。
非麻痺側と比較すると麻痺側は「感じにくい」かもしれませんが、それでも「感じている」ところもあります。
ご自分の体がちゃんと、「感じている」ことに気づいてみませんか?
2022.01.12
その後の経過
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
昨年12月10日のブログでお伝えいたしました、ご利用者様の経過を少しお伝えしたいと思います。
「歩いてトイレへ行きたい」がご本人様とご家族様のご希望です。
しかし何かにつかまっていないと立つのが怖いとご本人様はおしゃっておられました。
動作の中で、必要以上に両手でつぱっていることが非常に印象的でした。
そこでただ「立つ」練習をするのではなく、「立って活動を行う」ことをリハビリの中に取り入れてみました。
例えば、ある日は壁にオリガミを貼ることを行いました。
最初は片手で貼りました貼りました。
その次は両手でオリガミにタッチをしました。
この活動は両手をフリーにてして、足で立つことを目的としました。
別の日は、立位でお手玉を投げることを行いました。
お風呂の椅子をひっくり返して、的に見立てそこにお手玉を投げ入れます。
立位て行うことでアクティブに足首でバランスをとる反応がみられました。
「立って活動を行う」前は、左手や指に痛みがありましたが、現在は左手の痛みはなくなりました!
手で頑張りすぎることが減ってきたからかもしれません。
また、手で頑張りすぎている時は難しかった「歩いてトイレ」へ行くことの練習も行っております。
初めて歩いてトイレへ行かれた時は、とてもうれしそうな表情が印象的でした。
ただ「歩けるようになりたい」よりも「自分の足で歩いてお散歩に行きたい!」「愛犬とお散歩に行きたい!」等の「歩けるようになったら」の先の意識や目標にすることも大切ですよね。
皆様のどんな些細なことでもかまいませんので、お電話やホームページのお問合せフォームからどうぞお気軽にお問い合わせください。
スタッフ一同お待ちしております。
2021.12.28
サポータを使用してみて
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
2021年11月16日のブログにスポーツ用の足首のサポーターを使用して、好きな靴が履けたご利用者様のお話を掲載いたしました。
脳卒中後遺症の方で「歩くときに装具を外して歩けるようになりたい!」とのご希望を沢山お伺います。
しかし、いきなり装具なしで歩くのはやはり怖いですし、なにより安全に歩けるかは不安な面があります。
「装具はとりたい」「でもいきなりなにもなしで歩くのは怖い」
装具から装具なしの間を埋めるために、スポーツ用のサポーターを使用して歩行練習を行っている方が当施設には数名いらっしゃいます。
その方のお体の状態を評価し、何種類からのサポーターから適切な物を選び、サポーターを装着して歩行練習を行っています。
そこで、実際にサポーターを装着して歩行練習を行っている方のお声をいくつかご紹介をさせていただきます。
メリットのお声
・好きな靴が履ける。
・装具だとフローリングの床を歩くとき滑るけど、サポーターだと滑らない。
・装具よりもサポーターの方が軽い。歩くとき、装具は重いから股関節から足を上げるイメージだけど、サポーターは膝から足がだせる感じがする。
・装具をつけていると、股関節から足首まで一本の棒のような感じがする。サポーターだと、歩くとき自然と膝が曲げられる。
・サポーターだと一歩一歩が軽くなる。
・足の裏の感覚が違う。サポーターだと地に足がついている感じ。足の裏で地面を感じる。
・サポーターで歩いていると、地面の凸凹を感じる。
もちろんデメリットの面もあります。
デメリットのお声
・装具のように完全固定されないので、安定感が少なくなる。
・片手では装着が大変。
・装着の手順を覚えるのに時間がかかる。
本日もサポータを着用して歩行練習をされたご利用者様がいらっしゃいます。
「装具じゃないから、安定感が少ないよね。でも、装具に頼らないために、自分の足の筋肉をしっかり使って支えたり、歩くことが必要とわかりました。」
「サポーターから装具に付け替えると、なんか左右のバランスが取りにくくなる感じがします。」
「なんか、左だけ足が変に長くなった感じがします。スキー靴を左だけ履いた感じがします。」
装具とサポーターでは、動きだけではなく足からの感覚情報が大きく異なることもお話してくださいました。
装具を外すタイミング自分自身の判断で難しい面もあります。
「装具を外したい、でも怖い」という方は、スポーツ用のサポーターを使用してまずは立つこと、バランスをとることから初めてもよいかもしれません。
足の裏からの感覚を感じることで、麻痺側に体重が乗せやすくなることを感じるかもしれません。
麻痺側に体重が乗せやすくなると、緊張していた腕や手のチカラが抜けてすーっと降りてくることもあります。
今回はサポータを使用しているご利用者様から、足の裏からの情報の大切さを改めて教わりました!
今後もこのような事例をご紹介していきます!
2021.12.10
環境設定とアクティビティ
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
「立っている時に何か持っていないと怖いのです。」
足のチカラが弱いと手で手すりなどを持たないと、立っている時に転びそうで怖いですよね。
しかし、時には手のチカラに頼りすぎて本来持っている足のチカラが発揮できない場合があります。
70代のご利用者様は、足のチカラ(筋力)はあるのに、両手で支持物につかまり立位姿勢を保持していました。
平行棒での歩行が可能ですが、両手で平行棒をつっぱるようにしてから足を出しているのが印象的でした。
何も持たないで立つことは「怖い、怖い」と恐怖心があり難しい状態でした。
そこで少し環境面に工夫をいたしました。
立位保持の際にご利用者様の背面にセラピストが立ち、後ろには絶対転ばないようにしました。
また前側にはアダプターテーブルを設置し、前側にも転ばないよう環境を設定いたしました。
ご利用者様が手を使わずに立位保持が可能となりましたら、ご自分でアクティブにバランスをとっていただくために、ちょっとしたアクティビティを行いました。
100円ショップで購入した
こちらを利用してのアクティビティです。
ご利用者様の届きそうで届かない範囲ギリギリのところに設置し、数字の書いてある的にボールを投げていただきます。
なるべく、数字が大きい場所を狙っていただきました。
最初はボールは的から外れてしまいましたが、3回目くらいから外枠の数字にボールが当たるようになり、その後は内側の枠にもボールが当たるようになってきました。
回数を重ねると、ご利用者様ご自身で色々考え、大きい数字を狙いボールを当てようとする変化がみられてきました。
そうすると、背面にいたセラピストに体を押し付けるような姿勢から、徐々に押し付けが軽減し、セラピストへの依存が軽減してきました。
立っている姿勢もすっと背筋が伸びてきました。
お帰りの際の車いすからの立ち上がりや、車への移乗動作もいつもより素早くなっておられました。
また「次はもっと大きい点数に当たるようにがんばります!」と弾んだ声とニコニコした笑顔でそうおしゃってくださいました。
今回は、環境設定とアクティビティで立位保持の姿勢や、バランスの取り方に良い変化がみられました!
リハビリの中でご自身で主体的に活動すること、楽しい気持ちやワクワクする気持ちも非常に大切ですね。
今後もこのような良い変化があった事例をご紹介していきたいと思います!
2021.11.16
履きたかった靴
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
当施設を昨年の6月からご利用されている40代の男性がいらっしゃいます。
靴を集めるのがお好きな方です。
2年程前の冬、欲しかった靴を買われたそうです。
しかし、靴を買ってすぐに脳卒中を発症されてしまいました。
リハビリ病院に入院中に、リハビリをするために靴を持ってきてもらうようにお話がありました。
買ったばかりの新品の靴を、ご家族様に病院に持ってきてもらいました。
しかし、麻痺側の足には装具をはめていたため、その靴を履くことはできませんでした。
その時、非常にがっかりした気持ちになったとのことでした。
退院してからも装具をつけて歩行をされているため、その新品の靴を履く機会はありませんでした。
その靴を履くことをあきらめ、手放すことも考えていたそうです。
「装具を外すことは可能でしょうか?」
今月に入り、そのご利用者様に質問をされました。
復職もされ、屋外歩行は装具使用で杖なしで行っている方です。
ご利用者様は、麻痺側の足首の弱さがあり足首を安定させる必要があります。
そこで、スポーツ用の足首を安定させるサポーターをご利用者様に着用していただき、歩行を行いました。
装具と比較すると足首を固定する力は弱まりますが、足が地面についている感じは装具着用時よりはるかに感じるとのことです。
「これをつけて歩くと歩きやすいです。いいですね!」とご利用者様も非常に喜ばれました。
ご利用者様は、その日にサポーターをインターネットで購入されたそうです。
そして、サポーターつけてずっと履きたかった靴を履き、歩かれたそうです。
「なんか、一つステージがあがった感じです!」
ご利用者様はうれしそうに弾んだ声でそうお話をしてくださいました。
ずっとずっと履きたかった靴が履けるのはとてもうれしいことですよね。
たった一つのことかもしれませんが、この喜びや達成感が「次」の意欲に繋がるかもしれませんよね。
ご利用者様の「やってみたい!」は私達スタッフのチャレンジです。
ご利用者様と一緒にチャレンジしていきます!
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