2025.10.27
手洗いは、安心をつなぐ
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
最近、気づけば朝夕がぐっと涼しくなってきましたね。
例年よりも早くインフルエンザが流行しており、
これからの季節は風邪や感染症が広がりやすい時期になります。
そんな今こそ、もう一度見直したいのが「手洗い」です。
手洗いって、つい、いい加減になりがちですよね。
特にコロナ禍が落ち着いてからは、
「もう手指消毒まではしなくていいか」と思う場面も増えたかもしれません。
でも、手を洗うことは自分のためだけではありません。
まわりの人に“安心”を届ける、思いやりの行動でもあります。
そして、パキスタン・アメリカの研究がそれをしっかり証明しています。
■パキスタン・カラチでの研究(Lubyら, Lancet 2005)
手洗いの習慣がほとんどなかったパキスタンのカラチで、
900世帯以上を対象にした大規模な調査が行われました。
結果は驚くものでした。
石けんで手を洗うだけで、
5歳未満の子どもの肺炎が約50%減少
下痢が53%減少
皮膚感染症が34%減少
しかも、特別な抗菌石けんではなく普通の石けんで十分な効果がありました。
また、家族全員がいっしょに手を洗うことが、子どもたちの命を守ったのです。
■アメリカ・ミシガン大学の研究(Allison E Aiello et al. PLoS One. 2012.)
次はアメリカのミシガン大学寮で、1,111人の学生を対象にした研究です。
「マスクだけ」「手指消毒+マスク」「何もしない」の3つのグループにわけて、インフルエンザ様の症状がでる
人がどれくらいでるか6週間観察しました。
すると-
手指消毒とマスクを併用した学生は、
何もしない人たちに比べてインフルエンザ様の症状が6週間で75%減少。
一方、マスクだけではあまり効果が見られませんでした。
つまり、感染を防ぐ鍵は“手指衛生”にあるということです。
■ ふたつの研究が教えてくれる共通点
・感染経路 多くの感染症は「手を介してうつる」=接触感染
・効果 特別な道具ではなく、石けんやアルコールで十分
・習慣化 一時的ではなく「続けること」で効果が高まる
・集団の力 家族・仲間全体で取り組むと感染がさらに減る
・本質 手洗いは、医療ではなく、日常を守る小さな習慣。
■手を洗うことは、“安心”を届けること
感染を防ぐというだけでなく、
「この人は清潔に気をつけてくれている」という安心感を、
相手に伝えることにもつながります。
それは、医療や介護の現場だけでなく、
家庭・学校・地域のどんな場所でも同じ。
手を洗うことは、“自分を守りながら、誰かを思いやる行動”。
その積み重ねが、社会の安心をつないでいくのかもしれませんね。
■おわりに
これから気温が下がり、
体調を崩しやすくなる季節がやってきます。
感染症を防ぐ最も確かな方法は、
高価な薬や特別な技術ではありません。
それは―
毎日の手洗い、手指消毒という「小さな習慣」。
パキスタン・アメリカで証明されたこの事実を、
私たちはもう一度、暮らしの中で大切にしていきたいですね。

2025.10.24
ただ”動く”だけではなく、生活を”支える手”へ
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
脳卒中の発症から3年。
「手が動かせるようになりたい。もう一度、自分の手で暮らしたい」
その想いを胸に、日々リハビリに取り組まれている方がいます。
初めてお会いした時はこう話されました。
「指が曲がるようになりたい」
「”ぐー”ができるようになりたい」
しかし、ただ”ぐー”ができることがゴールではありません。
その力を暮らしにつながる動きへ。
そこで、リハビリでは「ただ動かす」だけでなない「生活の中で意味のある動き」
を取り入れました。
例えば、タオルをしぼる両手の動きには、
“生活の中で手を使う”ための大切な要素が詰まっています。
力の加減、手のひらの感覚、両手の協調。
そして、「自分の手でできた」という確かな感触。
最初は、力の入れ方がつかみにくく、力が弱すぎたり、
反対に強くにぎり込みすぎたりすることがみられました。
それでも、何度もくり返すうちに――
両手でタオルをしぼると、ポタポタと水が落ちる音が聞こえ、
手のひらに伝わる水の重さや布の感触が少しずつ戻ってきました。
その“手応え”が、「できた」という確かな実感へと変わっていきます。
そして、今では新聞を持って歩く姿があります。
何気ない動作の中に、
“生活を支える手”が確かに育っています。
手が“動く”だけでは、まだリハビリの途中。
その手が“暮らしの中で役割を持つ”ことこそ、
リハビリの本当の目的だと、私たちは考えています。
タオルをしぼる。新聞を持って歩く。
その一つひとつの動作に、
「もう一度、自分の手で生きる」という願いが込められています。
今日もまた、
手の中に“暮らし”が戻っていく。
その瞬間を、私たちはそっと見守っています。
「退院後のリハビリや生活動作の困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。」

2025.09.30
「紹介してよかった」その一言が励みになります
滋賀県守山市にあります自費リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
「A様のリハビリの様子が動画で見られて安心しました」「報告書もわかりやすく助かりました」
先日、ケアマネジャーさんからこのような嬉しいお言葉をいただきました。
さらに、「リハ滋賀さんに紹介して本当によかったです」とのお声もあり、とてもありがたく、私たちの励みになります。
■”伝える”大切さ
リハビリはただ運動を積み重ねるだけではなく、“どう伝えるか” も大切だと私たちは考えています。
だからこそ、ご本人様やご家族様、そしてケアマネジャーさんに安心していただけるように、動画や経過報告書を工夫してお届けしています。
今回のご利用者様の実際の面談の場では、ケアマネジャーさん・ご利用者様・ご家族様が一緒に動画や報告書を見ながら話を進めました。
そのとき、ご家族様からは
「しっかり丁寧にやってもらえているのが伝わり安心しました」
とのお言葉をいただき、ご利用者様も「そうだね」とうなずかれていました。
さらにご家族様からは、
「介護保険でのリハビリも受けているが、ここでは細かいところまでしっかり丁寧に見てもらえる。手だけでなく全身を見てもらえ、普段できることをリハビリのなかで教えてもらえることが本人の気づきにつながっている」
といった感想もいただきました。
■報告書の工夫
いただいたお言葉の背景には、報告書を作成するときに大切にしている工夫があります。
・専門用語を減らし、誰が読んでもわかりやすい表現にすること
・「できるようになったこと」と「これからの課題」を分けて書くこと
・ご本人様の声や表情を盛り込み、“数字や動き”だけではなく“想い”も伝えること
・ご家族様へのお願いを具体的に書き、日常に活かしていただけるようにすること
これらを通して、報告書は単なる記録ではなく、安心や納得、そして希望を感じていただけるツールになっているのだと思います。
■まとめ
リハビリは、施設の中だけで終わるものではありません。
ご利用者様が「生活の中で活かしていけること」
ご家族様が「安心して見守れること」
ケアマネジャーさんが「紹介してよかったと思えること」
そのすべてがつながることで、初めて本当の意味を持つと考えています。
今回いただいた「紹介してよかった」というお言葉は、私たちの原点をもう一度確かにしてくれるものでした。
私たちの原点とは、ご本人様の暮らしに寄り添い、安心を届け、笑顔の循環を生むこと。
この原点は、あいむのパーパス「私たちはケアを通じて暮らしを豊かにし、世の中を笑顔にします」にも通じます。
これからも、ひとつひとつの出会いを大切にしながら、この原点を忘れずに「笑顔の循環」を広げていきたいと思います。

2025.09.26
片麻痺の”重さ”を体験してみて
滋賀県守山市にあります、自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
脳卒中の後遺症でよく聞かれるのが、
「手足が重い」「ちょっと座っているだけでもしんどい」
というお声です。
けれど実際にどんな“しんどさ”なのか、体験してみないとわからない部分が多いのも事実。
そこで今回は、鍼灸師の草川と一緒に、手に4キロの重りとアームスリング、足に5キロの重さと装具をつけて片麻痺の状態を再現し、実際に座る・立ち上がる・歩行する体験をしてみました。
■座っているだけでしんどい
最初に驚いたのは、ただ座っているだけでしんどいこと。
「これで本当に立ち上がって歩けるのだろうか?」と頭をよぎります。
やがて少し慣れてきても、立ち上がりの瞬間は大変。
腕の重さが体にのしかかり、
重心移動・荷重・重心上昇、立ち上がりのすべての動作がしんどい。
麻痺側に体重をのせるなんて、とんでもない。
自然と非麻痺側が頑張ってしまいます。
数回立ち上がるだけで、息切れ。
「立ち上がる」という動作が、どれだけ大変なことかを実感しました。
■歩行のしんどさ
歩行になると、さらに大変さが増します。
腕も足も、とにかく重い。
「歩きたい」「前へ進みたい」と思う一心で、杖に頼り、麻痺側の足は自然とぶんまわし。
その方が前へ進めると気づきました。
装具や重さ、そして「歩くこと」に必死で、麻痺側の足からの情報はまったく入ってきません。
麻痺側のことを考える余裕はありませんでした。
また、歩き終わると腰が痛いことにも気づきました。

■装具を外して気づいたこと
装具を外すと、不思議なことに「足から情報が入ってくる」感覚があり、なぜか安心できました。
足がある、と感じることで心も体も落ち着き、重かった腕まで「ふっと」軽く感じられました。
■擬似体験で得られた気づき
手足が重いのは本当にしんどい
ご利用者様が非麻痺側に頼ってしまう気持ちもよくわかる
麻痺側の重さを少しでも軽くすることが大切
麻痺側の足から情報を入れることが安心につながる
擬似体験ですが、やってみないとわからないことが沢山ありました。
ご利用者様のしんどさに草川と二人で改めて気づき、感じることができました。
そして、想像を越える学びを得られた貴重な時間でした。
■さいごに
この体験を通じて、ご利用者様が日々どれほど大変な思いをされているのかを、改めて実感しました。
私たち「脳梗塞リハビリステーション滋賀」は、その“しんどさ”を少しでも軽くし、暮らしの中で前向きな一歩を踏み出せるようお手伝いしています。
「立ち上がりや歩行がつらい」
「もっと楽に動けるようになりたい」
「麻痺のある手足を少しでも使えるようにしたい」
ご本人様、ご家族様のお気持ちに寄り添いながら、一歩ずつサポートしていけたらと思います。
その第一歩として「ご相談」や「体験リハビリ」を通して、実際にお話しを伺えたらうれしいです。
お電話、またはホームページのお問合せフォームから、どうぞお気軽にご連絡ください。

2025.09.25
リハビリの本質とは──動作の先にある“生きること”
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
日々のリハビリの現場では、脳卒中の後遺症で、「もう少し良くなりたい」「自分らしい生活を取り戻したい」と願う方をサポートしています。
今日は、実際のご利用者様との関わりを通して感じた 「リハビリの本質」 についてお話ししたいと思います。
そのご利用者様は歩くことが精一杯で、日常が「いっぱい、いっぱい」だった頃がありました。
一歩進むことも挑戦で、その一歩を重ねるだけで精一杯。
けれど、リハビリを続ける中で少しずつ変化が訪れました。
好きな場所に出かけられるようになり、野球の観戦もできるようになりました。
「できること」が増えていく喜びを感じられる日々。
でも、そのときふと心に問いかけが生まれたのです。
「これで、自分は本当にいいのか?」
できることが増えたからこそ、次の一歩を考えられる。
そして、その方は新しい決断をしました。
「働くことを再開しよう」
リハビリというと、「動作練習」というイメージが強いかもしれません。
もちろん動作練習は大切です。
でも、本質はもっと深いところにあります。
できることが増える → 生き方の選択肢が広がる
自分らしさを取り戻す → 社会との関わりや役割が生まれる
多様性を認める → 一人ひとりの人生に沿ったゴールがある
つまり、リハビリの本質とは「動作の先にある“生きること”」。
体が動くようになることはゴールではなく、
その人がその人らしく、自由に、自分の人生を選んで歩めるように支えることです。
歩くことに精一杯だった日々から、今は「働くことを再開する」と決めたその方の姿。
そこにこそ、リハビリの意味と希望が詰まっていると感じます。
私たちの施設では、一人ひとりの“生きる力”を取り戻すリハビリを大切にしています。
「もっと詳しく知りたい」「体験してみたい」と思われた方は、
どうぞ お電話やお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

お問い合せはお電話でも承っております。
下記の電話番号までお気軽にお問い合わせください。
脳梗塞リハビリステーション滋賀
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