2026.01.08
「こんな動き、したことなかった」――麻痺した左手で、蓋を回した日
「こんな動き、したことなかった」
今日、蓋を開けしめした利用者さんが、
ぽつりと、そう言われました。
いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設
脳梗塞リハビリステーション滋賀の小林です。
麻痺した左手で、蓋を回す。
それは「できるかどうか」を試すための動きではありません。
今日のリハビリでこの動きを選んだのは、
左手首の動きと、活動が欲しかったからです。
最近、あらためて感じていることがあります。
ただ関節や筋肉を動かすだけでは、
実際の「使える動き」にはつながりにくい、ということです。
関節や筋肉の状態を整え、
余分な緊張をゆるめ、
動きが出やすい土台をつくる。
これはとても大切な準備です。
でもその先で必要なのは、
「ただ動かすだけ」ではなく、目的がある暮らしの中で使うこと。
使うことで、
触覚、圧覚、位置感覚、視覚など、
多種多様な感覚が同時に働き、
それらが統合されていきます。
そして、その目的に合った運動が、
自然と引き出されていく。
関節の可動域や筋活動を整えたあと、
実際の生活動作の中で再学習していくことを大切にしています。
今回、両手動作を選択したのも同じ理由からでした。
日常の生活では、両手を使う場面がとても多くあります。
右手、左手にはそれぞれ役割があり、
場面や状況によって、
メインになる手と、サブとして支える手が
リアルタイムで入れ替わります。
生活の中の動作は、
決まった手だけで完結するものではありません。
状況に応じて、
使う手、支える手、感じ取る側が切り替わりながら、
脳のさまざまなシステムが同時に働いています。
だからこそ、
生活の中の動作そのものを練習することには意味がある。
感覚の「パッケージ」と、
運動の「組み合わせ」を、
その場に合った形で引き出していくために。
蓋をしめる。
蓋をあける。
この動きは、
手首の安定と回旋を必要とし、
しかも日常の中で、とてもなじみのある動作です。
特別な道具は使いません。
「練習」らしいこともしません。
でも、
左手は確かに参加しています。
「こんな動き、したことなかった」
その一言は、
できなかったことではなく、
まだ残っていた可能性を教えてくれました。
回せたかどうかより、使おうとしたこと。
今日のリハビリは、そんな一歩だったように思います。

2026.01.05
仕事はじめの一日 「今日の一歩」を確かめて
いつもお読みいただきありがとうございます。
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
今日からリハ滋賀は営業再開です。
寒いなか、本日も午前・午後ともにご利用者様がお越しくださいました。
ご利用者様の年末年始のご様子や、楽しいお話も伺いました。
仕事はじめの一日。
それぞれの、今年はじめての「今日の一歩」をいっしょに確かめる時間となりました。
小さな変化を見逃さず、
一歩ずつ積み重ねていける一年に。
「身体の回復」と「その人の生活」をつなぐリハビリを、
丁寧に取り組んでまいります。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

2025.12.29
「“歩くこと”が目的じゃなくなった日 ― 家族のために動ける喜びが戻ってきた瞬間」
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
発症から数年が経過した、脳梗塞後遺症の方。
その方は今年に入り、転ぶことや、些細な段差でつまずく場面が増え、外へ出ることを自然と避ける日が続いていました。
「このまま、悪くなっていくのかな…」
初回来所のとき、
ご本人様は、その不安を正直な言葉で話してくださいました。
今回は、転倒への怖さと向き合うことから
「体重がのる安心感」をひとつずつ取り戻していく過程
そして、暮らしの中に小さな役割が戻ってきたその出来事をご紹介します。
■初回来所の日
歩くことの不安や転倒への怖さのためか、
身体は強く緊張し、固めてしまうような様子が見られました。
そして
「麻痺側の足が重い感じがする」
と、率直に言葉にしてくださいました。
それでも、「家族のために、まだ何か役に立ちたい」
そんな静かな思いがありました。
■リハビリで大切にしたこと
リハ滋賀では、
・歩幅を広げること
・速く歩くこと
よりも、まずは
「体重がのる・移る感覚」
「足が支えてくれている安心感」
をひとつずつ確かめていきました。
「できる動きを増やす」より、
「怖くない一歩を、身体で感じていくこと」
を軸に、ゆっくり積み重ねていきました。
不安が強い日は、無理をせずに
足部や下肢が体重を支えられるよう準備を行い
体重をかけたときに怖くならないよう、環境を整え
足でしっかり立つ安心感を土台に
その立位を保ちながら、
ご本人様にとって意味のある両手の動作へとつなげていきました。
■ある日の帰り際に、ぽつりと出た一言
ある日の帰り際に
ご本人様が静かにこう話されました。
「スーパーに行って、家族が好きなものを買えるのが、いちばんうれしいです。」
その言葉を聞いたとき、
「歩けるようになった」以上の
“暮らしの回復” が、そこにあると感じました。
■ご家族様から届いた声
後日、ご家族様から、こんなお話がありました。
「最近、自分たちが知らないうちに
近所のスーパーへ行っていることが増えてきました。」
「洗濯物も、いつのまにか干してある日があって……」
「前よりも笑顔が増えてきて、 家族みんなで喜んでいます。」
できることが“劇的に増えた”わけではありません。
でも、
・外へ出る一歩
・家の中での役割
・表情のやわらかさ
それらが少しずつ、静かに戻ってきていました。
■作業療法士の視点
回復は
動作ができるようになること
だけでなく、
「身体の安心感」
「誰かのために動ける喜び」
が、もう一度つながっていく過程でもあります。
慎重だった一歩が
・家族のための買い物へ
・暮らしの役割へ
・日常の小さな前向きさへ
少しずつ広がっていく。
その瞬間に立ち会えたことを、
心からうれしく思います。
■わたしたちが大切にしていること
”ただ歩く”のではなく、
その一歩が
その人の“暮らし”とつながっていること。
その積み重ねを
これからも、ていねいに支えていきたいと思います。
■年始のご案内
リハ滋賀は
1月5日より通常営業・体験受付を再開いたします。
今の不安を相談したい
生活につながるリハの考え方を聞いてみたい
という方は、まずはお話からどうぞ。
無理のない範囲で、
一緒に考えていきます。

※プライバシー保護のため、写真には一部加工・編集を行っています。
2025.12.26
「帰ってきたらクタクタで…ストレッチする気力が出ない」
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
お仕事を続けながら、長年通ってくださっているご利用者様。
「ストレッチをした方がいいのは分かっているけれど、
家に帰るとクタクタで…」
在職中の方から、この言葉をよくお聞きします。
そんな背景の中で、
「続けられるリハビリ」をどうつくるか——
今回は、その取り組みの一場面をご紹介します。
T様はお仕事を続けながら、リハビリにも前向きに取り組まれているご利用者様。
現在も、長年ご利用を継続されている方です。
仕事から帰ってくると、体も心もクタクタ…。
「ストレッチした方がいいのは分かっているけれど、家に帰ると何もしたくなくなってしまう」
そんなお気持ちを率直に話してくださいました。
麻痺側の指には硬さがあり、本来であれば継続したケアが望ましい状態。
しかし、
・仕事で疲れている
・家に帰ると気力が残っていない
・身体の状態的にも負担が大きい
という現実があります。
「やれない=頑張りが足りない」わけではなく、
いまの生活のリズムに、方法が合っていないだけ。
そこで今回は、無理に負荷をかけるのではなく
「続けられる形」へと発想を切り替えました。
■ 提案したのは「お昼休みに1分だけ」
帰宅後にがんばるのではなく、
「職場で・お昼休みに・1分間だけ」
という取り入れ方をご提案しました。
職場のテーブルと同じ高さにベッドを調整し、
手をテーブル面に軽く預けるようにして、指をやさしく伸ばします。
・力で無理に伸ばさない
・体の重みを“少しだけ”預ける
・呼吸を止めない
・時間は、ほんの1分間。
短いけれど、
“今の体・今の生活” に合わせた、現実的なストレッチです。
■ 最近あらためて感じていること
最近、臨床の中で強く感じていることがあります。
それは、
高い目標が続かないのは、意志が弱いからではない
ということ。
お仕事をしている方の場合、
・仕事で疲れている
・家に帰ると気力が残っていない
・身体の負担も大きい
そんな状況の中で、
「毎日◯分ストレッチしましょう」
「自宅で運動を増やしましょう」
という目標を設定すると、
身体より先に、心が折れてしまうことがあります。
「続けられない=ダメ」ではなく、
・今の生活リズム
・今の体の状態
そこに合っていないだけなのだと思います。
■ スモールステップは「成功体験を積むリハビリ」
今回の 1分間ストレッチは、
・帰宅後 → 昼休みに変更
・長時間 → 1分だけ
・自宅 → 職場と同じ高さで再現
というように、
生活の中に、無理なく落とし込んだ“スモールステップ”
でした。
ストレッチ後、
・指が伸びる感覚にご本人が気づき
・「これならできそう」と言葉が出て
身体の変化を“自分で実感できた”ことが、成功体験 になりました。
成功体験が生まれると、
・もう少し続けてみよう
・次の一歩を試してみよう
という気持ちが、
無理なく自然に生まれてきます。
■ セラピストより
「頑張るリハビリ」よりも、
・暮らしに組み込めるリハビリをどう作るか
ここを、とても大切にしています。
・無理をかけて伸ばすのではなく
・生活に合わせて、続けられる形にする
その積み重ねが、
からだの回復と「自分らしさの回復」につながると感じています。
最近、在職中の方から、
同じようなご相談をいただくことも増えています。
それぞれの暮らしに合わせて、
“続けられる一歩”を一緒に探していけたらと思います。
■同じようなお悩みをお持ちの方へ
・仕事とリハビリの両立がむずかしい
・家ではなかなか続けられない
・毎日のストレッチが負担になっている
そんな方にこそ、
「今の暮らしに合ったリハビリ」
をご提案しています。
まずは体験リハで、
無理なく続けられる“はじめの一歩” を一緒に見つけていきましょう。

2025.12.24
「本当に効果があるの?」半信半疑だった脳出血後の方が体験で気づいたこと
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
今回は、脳出血後3年、歩けてはいるものの不安を感じていた60代の方のお話です。
体験プログラムで麻痺側の感覚に気づき、体重をかけることへの怖さが変わった過程をご紹介します。
■来る前にあった、正直な迷い
N様は脳出血を起こしてから、3年が経過されていました。
歩くことはできていますが、
麻痺している方の足には軽い感覚障害があり、
体重が乗ると不安定さを感じておられました。
特に、台所で立ったまま向きを変えたり、
何気ない動作をするときに、
「あ、ちょっと怖いな」と多々感じることがあったとのこと。
そんな時にN様はリハ滋賀のホームページで体験プログラムを知られました。
正直なところ
「本当に効果があるのかな?」
という気持ちが先にあったと、カウンセリングの時に正直に話してくださいました。
それでも、
「もしかしたら、何か変わるかもしれない」
という思いも、どこかにあったとのことです。
ご友人に相談したところ、
「体験だけでも行ってみたら?」
と背中を押してもらい、
思い切ってリハ滋賀の体験へお越しになりました。
■体験で気づいた「思い込み」
N様は、実際に体験してみて、
麻痺している足は
「もう感覚がないもの」
だと思い込んでいたことに気づきました。
麻痺側の足の準備・体幹の修正を行ってから、
体重をそっと乗せていくと、
「あ、分かる」
「これだ」
とはっとした表情をされました。
■「怖さ」が少し変わった、という変化
体験の中で、N様は麻痺側の足の感覚が分かりやすくなったことで、
麻痺している方の足に体重をかけても、
以前ほど怖さを感じなくなったと話されました。
体験に来る前は、
「麻痺している方に体重を乗せるなんて、とんでもない」
と思っていましたが、
今はその気持ちが少し変わったように感じていると
そっと教えてくださいました。
■この声を紹介した理由
N様の変化は、
「できるようになった」
「劇的に良くなった」
というものではありません。
けれど、
・感覚が「分かるようになった」
・麻痺側に体重をかけることへの「怖さが変わった」
この小さな変化は、日常生活を続けていく上で、とても大きな意味を持ちます。
実際、
「歩けてはいるけれど不安が残る」
「感覚はもう戻らないと思っている」
そんな声は、決して少なくありません。
■体験プログラムについて
体験プログラムは、
通うかどうかを決めるための場ではありません。
今の身体の状態を知り、
自分では気づかなかったことに気づくための時間です。
今すぐ何かを決めなくても大丈夫です。
「一度、体を見てもらってもいいかもしれない」
そう感じたタイミングが、体験のタイミングだと考えています。
※当施設は無理なご案内はしておりません。
※ご相談のみでも大丈夫です。
■まとめ
今回ご紹介したお話が、
「今さら行っても意味があるのかな」
「もう少し様子を見たほうがいいのかな」
と迷っている方にとって、
ひとつの参考になれば幸いです。

※掲載している写真・内容は個人が特定されないよう一部加工・配慮を行っています。
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