2026.03.04
「立ったとき“ふわっ”とする…それ、首の疲れが原因かもしれません」
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
立ったときや方向転換で、
「ふわっ」とする。
そんな小さな違和感を感じることはありませんか。
めまいというほどではないけれど、少し気になる感覚。
実はそのサイン、からだのセンサーの疲れかもしれません。
◆方向転換で「ふわっ」とする
最近、立ち上がったときや方向転換のときに
「ふわっとする」と話されたご利用者さまがいました。
これまで大きなめまいはありませんでした。
けれどここ最近、少し違和感が増えてきたそうです。
念のため、病院で検査をしてもらいましたが、問題はありませんでした。
◆足の感覚は、しっかり続けています
この方は、脳卒中のあと、
“からだの位置を感じる感覚”が少し弱くなっています。
足がどこにあるか。
どのくらい体重がのっているか。
その感覚があいまいになることがあります。
だから普段から、
・足の裏で床を感じる
・体重をゆっくりのせる
・左右差を感じる
そんな練習を丁寧に続けています。
足の感覚は、バランスの土台だからです。
◆それでも出てきた違和感
生活をうかがうと、
・編み物
・スマホ
・彫刻
手元を見る時間がとても長い。
姿勢をみると、胸椎のあたりから丸く、頭が少し前に出ています。
◆首の奥にも“センサー”があります
首の奥には、頭の向きを脳に伝える小さな筋肉があります。
この筋肉は、目や耳と連携しながら、頭の安定を保っています。
もしここが疲れてしまうと、
目は「動いている」と感じ、耳も「動いている」と感じているのに、
首からの情報が少しずれてしまうことがあります。
そのとき脳が一瞬迷い、
「ふわっ」という感覚が出ることがあります。
それは悪化ではなく、補っていたセンサーの疲れだったのかもしれません。
◆小さな調整
今回は、
・胸をやわらかくひらく
・あごをそっと引く
・小さくうなずく
そんな小さな調整を行いました。
強くもみほぐすわけではありません。
足という土台を整えながら、首の負担も少し軽くする。
それだけで、「頭が軽くなった。楽。」
と話してくださいました。
◆手元を見る時間が長くなったときは
もし最近、手元を見る時間が長くなっているなと感じたら、
立ったときや方向転換のときに、「ふわっ」という感覚が出やすくなることがあります。
そんなときは、
・遠くを見る
・小さくうなずく
・胸をやわらかくひらく
・足の裏を感じて立つ
ほんの30秒のリセットでも大丈夫です。
からだの中で、情報がそろう時間をつくること。
それも、ひとつのリハビリです。
◆違和感を、そのままにしない
ご利用者さまから感じた小さな違和感を、そのままにしない。
そこには、リハビリのヒントがあります。
からだの声を、ひとつひとつ丁寧に探っていくこと。
いつも臨床の中で、ご利用者さまから学ばせていただいています。
答えはいつも、目の前のご利用者さまが教えてくれます。
もし、同じような違和感が続くときは、ひとりで抱え込まず、
一緒にからだの声を探してみませんか。
2026.02.27
脳梗塞から2年。それでも「いちばん回復している」と言われた日
いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
今日は、ご家族様からいただいたひとことについて、書きたいと思います。
発症から2年が経ったご利用者様。
そのご家族様から、こんなお言葉をいただきました。
――「ここに通うようになってからが、いちばん回復している」と。
◆発症から2年、変わりたいという想い
発症から2年。
その方は、
「外を歩きたい」
「もう一度、手を使えるようになりたい」
そんな想いを胸に、夏からリハ滋賀のご利用を始められました。
きっかけは、担当のケアマネジャー様からのご紹介でした。
「この方は、まだリハビリを続けたい、良くなりたいという想いがとても強い方なんです。
だから、リハ滋賀さんにお願いしようと思いました。」
その言葉から始まったご縁でした。
◆これまでの積み重ねの上にある“今”
発症直後から、医療機関や介護保険施設でのリハビリにも真剣に取り組まれてきました。
その積み重ねがあったからこそ、今のからだがあります。
私たちは、その“続き”を一緒に担わせていただいています。
体験の日、ご家族様も見学に来られました。
「こんなにしっかりやってもらえるとは思わなかった。」
率直で、あたたかいひとことでした。
◆部分ではなく、全身をつなげてみる
・足の柔らかさや感覚
・体重移動
・姿勢の安定。
・腕の重さ
・手の感覚と使い方
それぞれを別々に見るのではなく、
全身がどうつながっているかを大切にしてきました。
いきなり大きく変わったわけではありません。
小さな変化を見逃さず、確実に、ひとつずつ積み重ねてきました。
◆生活が広がるということ
今では、
近所のスーパーへ買い物に行き、
ご家族様と一緒に畑へ行かれています。
“できる動き”が増えただけではなく、
“行ける場所”が増えました。
それは、生活が広がったということだと思います。
◆「いちばん回復している」と言われた日
そして先日
ご家族様とお話ししたとき、こんな言葉をいただきました。
「脳梗塞を発症して2年経ちましたけど、ここに通うようになってからが、いちばん回復しています。」
さらに、
「言葉の訓練をしていないのに、前よりはっきりしてきました。
よく話すようになって、コミュニケーションも前よりスムーズになりました。」
私たちは直接“言葉の訓練”をしているわけではありません。
でも、
・姿勢が整うこと
・呼吸が安定すること
・安心して体を動かせること
それらは、発声や表情、会話にもつながっていったのかもしれません。
◆回復と時間
回復は、時間で止まるものではないのかもしれません。
ゆっくりでも、確実に、からだは変わり続けています。
変化が見えにくくなるのは、
「もう伸びないのかもしれない」と思ってしまったときなのかもしれません。
それでも、2年目でも、からだはちゃんと応えてくれていました。
先日の、ご家族様の言葉から、あらためてそれを教えていただきました。
これからも、その“続き”を一緒に歩んでいきます。
もし、
「まだ変わりたい」
「もう少しできることを増やしたい」
そんな想いがありましたら、どうぞ一度ご相談ください。
体験やご見学も随時受け付けています。
2026.02.25
「のせない」のではなく、「のせられない」
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
「足の裏が感じにくいから、体重がかけられない。」
リハビリの現場で、よく聞く言葉です
。
「のせられない」と言われたとき、私は
「どこまでその感覚を想像できていただろうか。」
「理解している“つもり”になっていなかっただろうか。」
そう思って、足の裏の感覚を少し鈍くする擬似体験をしてみることにしました。
■こんなんで変わるのかな?
踵、母趾球、小趾球、そして足の指。
足の裏の中でも、とくに感覚が集まっている場所です。
その感覚を少し鈍くするように、包帯を重ねて貼りました。
正直、半信半疑でした。
「こんなんで、本当に感覚って変わるのかな?」

■立った瞬間、足の裏がわからない
立った瞬間、すぐに違和感がありました。
え?
足の裏が、いつもと違う。
床が、わかりにくい。
踵?
母趾?
小趾?
どこで支えているの?
ぼんやりしている。
靴下をはいている感覚とも、違いました。
包まれている感じではなく、足の裏の輪郭がぼやけるような感覚。
触れているはずなのに、どこで支えているのかが、はっきりしない。
頭の中は混乱しました。
そして体が、じわじわと傾いてくる感じがしました。
■片足立ちが、こんなに不安定なんて
片足立ちをしようとしたとき、
一瞬、躊躇しました。
「できるかな?」
足を上げた瞬間、
支える場所がわからない。
すごいグラグラする。
どこで支えればいいの?
本来なら無意識でやっているはずのことを、
必死で頭の中で考えていました。
気づけば、
両手を広げ、体を反対側に倒し、
なんとかバランスを取ろうとしている。
足で支えられない。
だから、手と体幹でなんとか支える。
代償です。
それは、転ばないための反応でした。
■のせたい。でも、のせられない
一歩前に足を出して、体重をのせようとしてみました。
のせたい。
でも、のせられない。
怖いというより、
「わからない。」
どこにのせればいいのか。
のせたらどうなるのか。
それが予測できない。
すごく考えながら、少しずつ体重を移してみました。
でも、それ以上のせたら支えられなくて、崩れる気がしました。
その瞬間、無意識に、腰が引けていました。
わからない。
支えられない。
だから、怖い。
わからないところに、
人は体重をのせられない、のせたくないのをか実感しました。
■包帯を外した瞬間
包帯を外した瞬間、
足の裏が、はっきりしました。
床が、ちゃんと感じられる。
さっきまでぼんやりしていた踵や母趾球、小趾球が、
床に吸い付くように、触れている。
なんか、気持ちいい。
あ、私の足だ。地面を感じられる。
不思議なことに、身体も気持ちもすっと落ち着きました。
それだけで安心して立てるかというと、きっと、それだけではありません。
でも、それがなければ、安心は始まらないかもしれません。
■共有してみて、あらためて感じたこと
今回の体験は、鍼灸師の草川さんと一緒に行いました。
実際にやってみて、
「思った以上にわからないね」
「これでは、のせられないよね」
そんな感想を、お互いに口にしていました。
一人で感じるよりも、共有することで、
「のせられない」という言葉の重みが、少しだけ近づいた気がします。
地面や床からの情報がわからないと、体重はのせられない。
バランスも、安定も、足の裏から始まっている。
だからこそ、
・立つこと
・歩くこと。
・日常生活の動き。
その土台になる足部へのアプローチを、
これからも大切にしていきたいと二人で共有しました。
■足の裏は、地面とつながるところ
足の裏は、体の中で唯一く直接地面と接しているところ。
身体と世界をつなぐ、感覚の入り口です。
のせないのではなく、のせられない。
まずは、その人の足を、その人の足に戻すこと。
足の裏の感覚は、想像以上に大切でした。
だからこそ、足部への介入を丁寧に続けていきたいと思います。
2026.02.20
腕を触らなかったのに、軽くなった日
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
■気になったのは、肩でした
ご利用者様が来られました。
立った姿勢を確認したとき、麻痺側の肩が落ちているのが気になりました。
三角筋に触れて刺激を入れてみましたが、反応は乏しく、トーンも上がりにくい。
どうしたらよいだろう。
この時は、肩のことばかり考えていました。
■立位を見直したときの違和感
あらためて立位を評価しました。
麻痺側の足の位置を少し変えた瞬間、非麻痺側が引っ張られました。
そのとき、思いました。
「あ、これだ。」
見逃してはいけないサインでした。
一見立てているように見えます。
しかし、非麻痺側の股関節は外旋で固定され、その脚だけで体を支えている状態でした。
麻痺側は立っているようで、
十分に“支える側”に参加できていなかったのです。
■下から整える
非麻痺側だけでがんばって支えている状態を整え、
麻痺側にも、もう一度“支える役割”が戻るように丁寧に関わりました。
そして、立った姿勢のまま、
左右にゆっくり体重を移していきました。
この時、直接麻痺側の肩には触れていません。
■「お、軽い。」
麻痺側の腕を動かしていただくと、
「お、軽い。」
そして、少し不思議そうに、「なんで?」
肩は触っていません。
それでも、腕が軽くなりました。
■立てていることと、使えていること
ご利用者様は言いました。
「立ててるし、歩けてるから、足は問題ないと思ってた。」
立てていることと、本当に使えていることは、少し違うのかもしれません。
ご利用者様から、また教えてもらいました。
触れて、見逃さない。
その積み重ねを、大切にしていきたいと思います。
2026.02.17
手からつたわること。
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
■臨床は、やりとり
臨床は、やりとりだと思っています。
私が触れているようで、同時に、触れられている。
ご利用者様の体に触れると、
その日の体の様子が、手から伝わってくることがあります。
■触れることで感じる
思っていたより強い緊張。
体のねじれから生まれる左右差。
じっと固まった体幹。
触れた瞬間に、感じることがあります。
あるご利用者様は、足に触れたとき、いつもより強い力みを感じました。
いつもよりも足先まで力が入り、少し固くなっていました。
あとでお話をうかがうと、その日はご自宅を出る前に、
とても急がれていたとのことでした。
体は、その日の出来事まで覚えていることもあります。
うまく言葉にならない不安。
がんばりすぎている力み。
今日という一日の重み。
手をとおして、その人の「今」がつたわってくる日があります。
■手は、正直
そして同時に、私の状態も手から伝わります。
私が焦っているとき。
「良くなってほしい」と
力が入りすぎているとき。
それも、きっと伝わってしまうかもしれません・
だからこそ、
まず自分を整える。
呼吸を整える。
触れ方を考える。
急がない。
ことを心掛けています。
■触れることには、理由がある
触れることには、理由があります。
・体のアライメントを整える。
・筋肉をモールディングする。
(手でやさしく形を整え、その筋肉が働きやすい状態へ導いていくこと)
・感覚を入れる。
・感覚と運動のループをつくる。
そうすることで、
無理のない、効率的で楽な動きにつなげていきます。
■安心すると、体は変わる
でもそれは、
ただ動きをつくるためだけではありません。
触れていると、
その人の力みが少しずつゆるむ瞬間があります。
安心すると、体は余計な力を手放しはじめる。
力みがゆるむと、本来の動きがあらわれてきます。
■触れるというやりとり
触れるということは、動きを整えることでもあり、
安心を届けることでもあります。
臨床は、一方通行ではありません。
触れるというやりとりの中で、体は少しずつ変わっていきます。
そのご利用者様との時間を、これからも大切にしていきたいと思います。
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