2026.02.10
片手でできている。でも、よくなりたい。
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
■とまどう瞬間から始まること
リハビリの場では、ときどき、ご利用者様のお話に
少しとまどう瞬間があります。
それは、その方なりに、一生懸命に生活するために
選んできた言葉なのかもしれません。
■「よくなりたい」と「大丈夫」が同時にあるとき
以前、ご利用者様が
「麻痺側の手や腕がよくなりたい」
そう話されていました。
でも、困っていることをお聞きすると、
「片手でなんでもできているから大丈夫です」
と答えられました。
正直に言うと、私は少し混乱しました。
よくなりたい。
でも、大丈夫。
その二つが、同時にそこにあるように感じたからです。
■そっと時間を戻す問い
それで、こんなことを聞いてみました。
「ご病気をされる前は、日常生活は両手でやることが多かったですよね」
少し沈黙があって、ご利用者様は、こう言われました。
「あ、忘れてました」
「そうでしたね」
■生活を守るための選択
片手でできるようになることは、生活を続けていくために、
必要な選択となる場合もあります。
できる側を使って、生活を守ってきた時間でもあります。
その一方で、麻痺側の手のことや、両手でしていた暮らしや感覚が、
少しずつ、思い出されない場所に、置かれていくことがあります。
■体が思い出していく瞬間
リハビリの中で、麻痺側の手への感覚や、両手を使った課題をしていると
ふと、こんな言葉が出ることがあります。
「なんか……ここにある感じがします」
「さわってるのが、少しわかります」
「あ、懐かしい感じがする」
「前は、こんなふうに手を使っていました」
大きな動きではありません。
でも、その変化に、ご本人が一番驚かれることが多いです。
■指を一本ずつ感じるということ
指は5本ありますが、一本ずつ触れられることは、
実はあまり多くありません。
いつの間にか、一本一本を感じる時間は、
少なくなっていきます。
だから、動かす前に、指にそっと触れる。
■置く・支える・押さえるという役割
そして、
置く。
支える。
押さえる。
たとえば、
テーブルの上に、そっと手を置く。
紙が動かないように、少し押さえる。
それだけでも、「感じる時間」や「使われている時間」が、
生活の中に戻ってくることがあります。

■「大丈夫」の中にある、もう一つの気持ち
「片手でできているから大丈夫」
その言葉の中に、
「それでも、よくなりたい」
という気持ちが、
そっと隠れていることがあります。
もし、麻痺側の手や腕が、ふと気になったとき。
それは、体が、これまでの暮らしを思い出そうとしている合図かもしれません。

2026.02.06
話をしっかり聞いてくれたから ― 体験に来る前の、正直な気持ち ―
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
退院後、どこに行ったらいいのかわからなかった」
これは、とてもよく聞く言葉です。
病院でのリハビリは終わった。
家にも帰れた。
でも、
歩きにくさが残っていたり
疲れやすくなっていたり
外出が少し怖くなっていたり。
腕が重かったり、
手がむくんだままだったり、
肩の痛みが残っていたり。
生活の中の困りごとは続いているのに、
相談できる場所がわからない。
そんな状態で、時間だけが過ぎていきます。
■「一番、話を聞いてくれた」
別の施設に体験に行かれた方が、こんなふうに話してくださいました。
「いくつか体験に行ったけど、
リハ滋賀さんが一番、話を聞いてくれました。
それに、その場で“自分に合ったこと”をしてくれたのが印象的でした」
実はここ、とても大切にしているところです。
私たちは、最初からメニューを決めません。
今どんなことで困っているのか。
何が不安なのか。
どんな生活を送りたいのか。
まず、そこを聴くところから始めています。
■「話をしっかり聞いてくれたから、体験を受けようと思った」
長年ご利用されている方が、ある日このようにぽつりと話されました。
「話をしっかり聞いてくれたから、
体験を受けてみようと思いました」
技術の話より先に。
説明より先に。
“ちゃんと話を聞いてもらえた”。
それが、最初の一歩だったそうです。
■言葉にならない違和感を、一緒に整理する
体験を終えた方からは、こんな声もよくいただきます。
「話を、しっかり聞いてもらえました」
「ちゃんと自分の体を見てもらえた、って感じました」
「自分でも言葉にならなかった違和感や、
困っていることを、代わりに表してくれた気がしました」
私たちが大切にしているのは、
動きだけを見ることではありません。
その人が感じている違和感。
うまく説明できない不安。
生活の中での小さな困りごと。
“まだ言葉になっていない部分”を、
一緒に整理するところから始めています。
■歩きだけじゃない。腕や手の困りごとも
体の悩みは、歩きだけではありません。
・肩に亜脱臼があって腕が重たい
・麻痺側の腕がぶら下がる感じがして不安
・手をどう使っていいかわからない
・本当は、もう一度“手を使って生活したい”
そんな声も、とても多いです。
体験の中でよく聞くのは、
「腕がこんなに重かったんだって、初めて気づきました」
「手のこと、ちゃんと見てもらえたのは初めてでした」
という言葉。
歩けていても、
腕や手が“置き去り”になっている方は少なくありません。
私たちは、
歩きだけでなく、
肩の位置、腕の重さ、
手の感覚や使い方まで含めて、
その人の“生活の体”として見ています。
物を押さえる。
スマホを持つ。
お盆を運ぶ。
服を整える。
そして何気なく顔をさわる。
そうした日常の動きの中で、
もう一度、手が「自分のもの」になっていく。
「歩けるようになる」だけでなく、
「手を使って暮らしたい」。
その気持ちも、私たちは一緒に大切にしています。
■体験に来るの、みんな迷っています
そして、ほとんどの方が正直に話してくださるのが、
「体験、来るの…迷いました」
・無理にすすめられたらどうしよう
・断りにくかったら嫌だな
・自費って聞いて、正直ひるんだ
そんな気持ち、当たり前だと思います。
■無料カウンセリングは「決める場」ではありません
だからリハ滋賀では、
体験の前に「無料カウンセリング」を行っています。
来店でも、
お電話でも、
メールでも。
ここでは、契約の話はしません。
今の体のこと。
生活の中で困っていること。
うまく言葉にできない違和感。
まず、それを一緒に整理する時間です。
来店の場合は、事前にご連絡をいただければ、
その方のためにきちんと“時間の枠”を取っています。
■体験は「お見合いみたいなもの」
体験についても、よくこうお伝えしています。
「体験は“お見合い”みたいなものです。
ご本人に合うかどうか、見てもらう時間です。
無理にすすめることはありません」
実際、3回の体験が終わったあとも、
「いかがなさいますか?」
と、こちらから必ず確認します。
続けるかどうかは、ご本人の意思を尊重させていただきます。
■お問い合わせについて
もし今、
「歩けてはいるけど、なんとなく不安」
「このままでいいのかな」
「手を、もっと使って暮らしたい」
そんな気持ちがあれば、
いきなり体験じゃなくて大丈夫です。
無料カウンセリングで、1お話を聞くこともできます。
ご連絡は、
・お電話
・ホームページのお問い合わせフォーム
どちらからでも大丈夫です。
来店でのご相談をご希望の場合は、
事前にご連絡いただければ、
その方のためにきちんと“時間の枠”を取っています。
決めなくていい。
まず、今の状態を一緒に整理するところからで大丈夫です。

2026.02.03
歩けているのに、歩けなくなっていく人たち ―それは体からの小さなサインかもしれません―
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
装具や杖を使って歩けている。
だから「大丈夫」と思っている。
実は、そう感じている方はとても多いです。
でも現場でリハビリをしていると、
こんな流れをよく目にします。
■よくある“静かな変化”
最初は歩けていた。
けれど実際には、
麻痺側に体重が乗れていないまま歩いている。
↓
だんだん転びやすくなる。
↓
外に出るのが怖くなり、
家の中で過ごす時間が増える。
↓
座っている時間が長くなる。
↓
気づいたときには
「前より歩けなくなっている」。
派手な悪化ではありません。
少しずつ、静かに進みます。
だからこそ、見過ごされやすいのです。
少しずつ転びやすくなり、
外に出るのが億劫になってくると、
家の中で座って過ごす時間が増えていきます。
これは、実際によく見かける変化です。

■なぜ、そうなってしまうのでしょうか
麻痺側に体重が乗らないまま歩いていると、
無意識に“元気な側”だけで頑張る歩き方になります。
すると体の中心がずれたまま動くようになり、
とっさの一歩が出にくくなって、
ちょっとした段差や方向転換でも転びやすくなります。
また、頑張る歩き方が続くことで
足や体に余計な力が入りやすくなり、
少しずつ足の形が変わってきたり、
今まで合っていた装具が合わなくなってくる方もいます。
そうなると、
「歩くのがしんどい」
「怖い」
「外に出たくない」
という気持ちが強くなり、
動く量が減ってしまう——
そんな流れにつながっていくことも少なくありません。
■「歩ける」と「体がうまく使えている」は違います
杖や装具で歩けていても、
・麻痺側に乗れていない
・体重移動が片側だけ
・感覚が入りにくい
こうした状態が続くと、
身体のバランスは少しずつ崩れていきます。
見た目は「歩けている」。
でも身体の中では、
真ん中がずれ続け、無理な使い方が積み重なっていることがあります。
■大切なのは、“歩けなくなってから”ではなく、“歩けている今”
多くの方が、
「もっと悪くなってから考えよう」
「今は歩けているから」
そう思われているかもしれません。
でも本当に大切なのは、
歩けなくなってから対処することではなく、
歩けている今、体の使い方を見直すこと。
小さな違和感のうちに整えてあげることで、
その先の転倒や活動量低下を防げるケースは少なくありません。
■今の歩き方、少しでも気になったら
・最近つまずきやすい
・麻痺側に体重が乗っていない気がする
・歩くと疲れやすい
・外に出るのが億劫になってきた
もしこんな感覚があれば、
それは体からの小さなサインかもしれません。
今の歩き方が、少しでも気になったら。
今のからだの状態を知るだけでも大丈夫です。
どうぞお気軽にご相談ください。

2026.01.29
歩く距離は伸びた。でも、何かがちがう。
いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
今回お話しするのは、
脳卒中後のリハビリを経て、日常生活は送れていて、
歩く距離も少しずつ伸びてきた方です。
けれど最近、
「なんだか歩くのがしんどくなってきて…」
そんな違和感をきっかけに、体験に来られました。
■歩けるようになった。でも、しんどくなった
歩く距離は、少しずつ伸びてきました。
けれど最近、
・歩くことが前よりしんどくなってきた。
・非麻痺側ばかりが頑張っている感じ。
・歩き終わると、非麻痺側だけがすごく疲れる
・なんか、前とちがう。
そんな違和感が続いていました。
■動画に映った、自分の姿
ある日、
家族に歩くところを動画に撮ってもらい、見てみました。
まっすぐ立っているつもりだったのに、
姿勢がねじれている。
よく見ると、
身体全体が非麻痺側に傾いたまま動いていました。
■できているはずなのに
できているはずなのに。
良くなっているはずなのに。
なんでだろう。
無意識のうちに非麻痺側に力が入り、
身体全体が傾いたまま動いていたのかもしれません。
自分ではまっすぐ歩いているつもりでも、
身体は、別の動きを覚えていたのかもしれません。
■気づきは、外からやってくることもある
こうした変化は、
本人よりも、外から見たほうが
気づきやすいことがあります。
実際に体験された方から、
こんな言葉をいただくことがあります。
「自分じゃ気づかないことがわかってよかった」
「原因がわかって安心しました」
動画に映った自分。
誰かの視点。
その小さな「気づき」が、
これからの動きを変えるきっかけになることもあります。
■その違和感は、見直すタイミングかもしれません
歩く距離が伸びることと、
身体の使い方が整うことは、
必ずしも同じではありません。
その違和感は、これまでの動き方を、
そっと見直すタイミングなのかもしれません。

2026.01.26
がんばって杖は取れた。 でも、歩き方が変わってしまった。ー60代・脳卒中 退院後に起きていた“歩き”の変化 ―
いつも、リハ滋賀のブログを読んでくださりありがとうございます。
今日は、
「がんばって杖は取れたけれど、
なぜか歩き方が変わってしまった」
そんな方のお話です。
歩けるようになったのに、
足をひきずるようになったり、
腰が痛くなってきたり。
「このままでいいのかな」
そんな小さな違和感から始まった、
60代・脳卒中の方をご紹介します。
60代のその方は、脳卒中のあと、麻痺側には感覚の障害が残りました。
退院後の目標は、
「杖を取って歩けるようになること」。
毎日、歩く練習をがんばりました。
その結果、杖は外れました。
ご本人様も、ご家族茶様も、とても喜ばれたそうです。
■ 少しずつ出てきた、別の変化
けれど、しばらくすると
別の変化が出てきました。
歩くとき、
・麻痺側の足をひきずるようになった。
・以前より、腰も痛くなってきた。
それでも、ご本人はこう思いました。
「杖が取れたから、大丈夫」
■脳は“いま出来る方法”を選びます
この状態は、決して珍しいものではありません。
脳はとても賢くて、
“いま出来る方法”を選びます。
転ばないように。
前に進めるように。
その結果、
・麻痺側に体重を乗せない
・健側でかばう
・股関節や腰で振り出す
そんな歩き方に、
少しずつ切り替わっていくことがあります。
歩けている。
でも、体は楽に使えていない。
脳の学習方針は、
楽で、手っ取り早いこと。
けれどそれが、
私たちの体にとっては
少し都合の悪い使い方になってしまうこともあります。
■悪くなったわけでも、がんばりが足りないわけでもない
これは
悪くなったわけでも、
がんばりが足りないわけでもありません。
体が、生きるために選んだ形です。
ただ――
このまま続くと、
・引きずり歩行が定着する
・腰や健側への負担が増える
・外出が減っていく
そんな流れに入ってしまう方も、少なくありません。
■「このままでいいのかな」
杖がとれたのはうれしい。
でも、
なぜ足をひきずるようになったんだろう。
なぜ腰が痛くなってきたんだろう。
「こんな歩き方になるなんて、思っていませんでした」
そう話してくださいました。
そして、
「このままでいいのかな」
そんな気持ちになって、
リハ滋賀の体験に来られました。
■体験で一緒に見たこと
体験では、
「もっとがんばる」ことはしませんでした。
まず一緒に見たのは、
・麻痺側に体重が乗っているか
・左右対称に立てているか
・足で床を感じられているか
・体をどこで支えているか
今の歩き方の中で、
どこでがんばっているのか。
■楽に動けるかどうかは、「使い方」の中にあります
「歩けている」ことと、
「楽に歩けている」ことは、
必ずしも同じではありません。
楽に動けるかどうかは、
できるようになることだけでなく、
どう体を使っているかの中にもあります。
■ 楽に動ける道は、退院で終わりません
「もうこんなもんかな」
そう思ったときこそ、
体の声に、少し耳を傾けるタイミングかもしれません。
自分の体で、少し楽に動けるようになる道は、
退院で終わるものではありません。
その続きを一緒に見つけていけたらと思います。

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