脳梗塞リハビリステーション滋賀

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 ブログ

2020.06.22

1ヶ月目の変化

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の作業療法士の小林です。

 

「最近、起き上がる時に、両方の股関節や膝関節の痛みがだいぶ楽になってきました。」

リハビリ開始してから1ヶ月目の振り返り時に、そうお話してくださいました。

 

脳卒中後遺症でお困りのご利用者様は、5月中旬から当施設でのリハビリを開始いたしました。

開始時は起き上がりの時に麻痺側、非麻痺側両方の股関節や膝関節が痛くて、つぱって辛いとのお話がありました。

 

入院中は車いすでの生活が長かったため、左右共に股関節や膝関節を伸ばす筋肉の短さが著明にみられました。

立った姿勢は、非麻痺側の膝関節も十分に伸ばすことが難しかったです。

そのため、立位姿勢時に股関節や膝関節の伸展が左右ともに不足していました。

硬い筋肉のストレッチを行うと、非常に強い痛みの出現がみられました。

 

そこで鍼灸では、股関節や膝関節の硬い筋肉に鍼やお灸で緊張をとる施術を行い、リハビリではご本人の動きを利用して筋肉の長さや柔らかさを出し、股関節や膝関節が伸展できる活動へとつなげていきました

 

 

 

ご自宅でも股関節や膝関節を伸ばす課題を行っていただきました。

ご自宅でも課題を行っていただくことで、施設リハビリの効果を継続させたり、相乗効果をねらいます。

また、ご自身の体の変化にも気づきやすくなります。

 

左右の股関節、膝関節の伸展できるようになってきたため、立位姿勢も変化してきました。

 

こちらが開始時の立位姿勢の写真です。

体がまっすくではなく、傾いていますね。

両足均等に体重がのっていないため、麻痺側の足は「休め」の状態です

 

次にリハビリ開始1ヶ月後の立位姿勢の写真です。

体が傾いていなく、真っ直ぐに近くなりました。

麻痺側の足にも体重がのっています。

 

股関節、膝関節を伸展させる筋肉が働きやすくなってきたため、麻痺側の足への荷重も改善してきました。

 

「浴槽へ入る時の跨ぐ動作が前よりスムーズになった!」

「段差を上る時に楽になってきた!」

このように生活の中で動作のやりやすさをご実感いただいております。

 

2ヶ月目の目標は「立位場面で両手動作をしてもバランスが安定する」です。

具体的な場面は「お子さんを抱っこする」などです。

 

ご利用者様の目標に向かってスタッフ一同がんばります!

2020.06.12

立ち上がりでの気づき

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」作業療法士の小林です。

「立つときや、立位の時にこっち(麻痺側)の足に体重がのりにくい。」

そう、ご利用者様はお話をされました。

 

立ち上がのり評価を行うと、動作前にすっと非麻痺側の足をひき、直後に立ち上がりを行いました。

このような動作ですと、麻痺側の足を使用しない動作となります。

開始前の座位姿勢では、体幹の非対称性の強さも見られました。

 

体幹の非対称性が強いと、立ち上がり動作の時に、麻痺側の足に体重がのせることが難しくなってしまう場合があります。

もしかしたら、立ち上がりの時に麻痺側の足に体重がのせられないのは、体幹の非対称性も問題の一つではと推測しました。

 

ご利用者様とこの日の目標を立ち上がりの時に左右の足をバランスよく使用する」と設定しました。

 

まず、長座位となり、膝の下にタオルを入れました。

ご利用者様は、入院中車いす生活が長かったため、ハムストリングスの短縮が強く、膝の伸展制限がみられました。

きちんと立位姿勢をとるためにも、ハムストリングスの長さは必要です。

 

その姿勢から麻痺側の体幹の捻じれを修正していきます。

ご利用者様の動きをセラピストがアシストしながら、体幹を左右対称に近づけます。

 

体幹が修正できましたら、太ももの裏の筋肉、ハムストリングスの長さを変えるために、ご利用者様に膝を軽く曲げて、そこから膝裏でタオルを押し付ける運動を行いました。

ご利用者様の動きで行っていくと、徐々に膝の伸展が出現し、最後は膝がベッド面につくくらいまで膝が伸びました。

 

「最初、膝が曲がっていたけど、今は、膝が伸びている!」

ご利用者様は膝がのびたことに驚かれました。

 

静的ストレッチよりも、ご自身の動きを使用してのストレッチのほうが膝が伸びたことを実感していただけました。

 

立ち上がり、立位の左右の足をバランスよく使用するために、今回は「積み木の上に立つ」ことを行いました。

積み木の上は不安定です。そのため、バランスをとるために足の内在筋を使用します。

 

また、積み木の角が足底への情報になり、自分自身でのモニタリングも可能となります。

 

まず、座位の時に足底に積み木を入れます。

そこから体重移動を行い、両足均等に体重がかかった時の積み木からの情報をご利用者様自身で知覚していただきます。

その後、立ち上がり、立位保持を行います。

 

一回目の時、立った後に非麻痺側の足を引いてしまったため、積み木が崩れてしまいました。

そのため、立位保持ができませんでした。

 

「今、いい方の足を引いてしまったので、積み木が崩れてしまいましたね。」

セラピストがフィードバックを行いました。

 

「自分では、足を引いているなんて気づかなかった。でも、積み木が崩れてしまったのはそれが原因だよね。」

「ずっと、左側(麻痺側)の積み木を感じていないと、左右均等にはならないんだね。」

 

ご利用者様はご自分で「積み木」の上にのる意味をご理解されたので、再び積み木を使用しての立ち上がり、立位の練習を再開しました。

 

「いつも麻痺側に体重をかけているつもりだったけど、いい方でがんばっていた。」

今は、積み木は両方の足同じくらい感じます。」

練習中、ご自身で気づいたことを、セラピストに伝えてくださいました。

 

 

再評価での立ち上がり動作では、非麻痺側の足を引かずに立ち上がり動作が行えました。

また、膝の伸展もしっかり出現し、立位姿勢もすっと上へ伸びていました。

 

「足をひかないで、立てました!」「いつもより、膝も伸びている!」

ご利用者様はうれしそうにおっしゃいました。

 

立ち上がりの時に麻痺側に体重をかけれない理由は様々あります。

お一人、お一人原因は異なることもあります。

 

インテークし、動作の評価、オンハンズでの評価を行い、リーズニングをすることの大切さを改めて感じました。

 

今後もお一人お一人に合わせた適切なリハビリが提供できるよう、スタッフ一同がんばります!

2020.06.03

寝返り

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の作業療法士の小林です。

 

「こちら側(麻痺側)に寝返りをするのは、すごく久しぶり。」

「なんか、懐かしい感じがするね。」

 

麻痺側への寝返りを行ったときに、ご利用者様がおっしゃいました。

ご利用者様の両側の頚から肩、背中、腰の皮膚や筋肉がパンパンにはりつめていたので、たずねてみました。

「もしかして、寝ている時はあまり寝返りはうたないですか?」

「そうそう、ほとんど真っ直ぐなまんまで寝ているの。だがらなのか、あんまりぐっすり寝られた感じがしないの。」

 

脳卒中後遺症の方で、麻痺側への寝返りが難しかったり、睡眠されている時の寝返りの回数が少ない方に出会います。

皆さんおっしゃるのは、

「寝ている時間は多いのだけど、熟睡した感じがしない。」

「朝起きると体の強張りが強い。」

「自分では寝ている感じはしないのに、家族は寝ていたと言う。」

など様々ですが、共通しているのは

「安楽に寝れていない。」

「熟睡感がえられない。」

と言うことではないでしょうか。

 

睡眠の質の一つの指標に寝返りの回数があります。

一晩で寝返りを打つ回数は人それぞれですが、平均すると10~30回と言われています。

 

では、なぜ、寝返りが大切かと言うと、同じ姿勢で眠り続けると体が寝具と接している箇所だけに圧力がかかり続けますよね。

寝返りを打つことで筋肉や骨の負荷を分散し、特定の部分にダメージが集中しないように体を守ってくれます。

そうすることで、体への負担が極力少なくなり、快適に眠ることができます。

(この図は快眠タイムズ様からお借りいたしました)

 

寝ている時は図のように体の各部位へ荷重がかかります。

体重が60kgの方でしたら、腰には26.4kgの圧がかかります。

寝返りが少ないと、体への負担が大きいことがこの図から想像できますね。

 

私も腰を痛めた時に寝返りが少なくなったことがありました。

起きた時に、筋肉がこわばっていて、良く眠れた感じがしませんでした。

 

また、寝返りには血液やリンパ液の循環を促してくれているそうです。

体調を整えるためにも寝返りは睡眠時の重要な動きですね。

 

麻痺側への寝返りも大切です。

麻痺側を下にすることで、床反力が麻痺側へ伝わりやすくなり、麻痺側への筋緊張を調整したり、感覚入力を促すことができます

「麻痺側への荷重」「麻痺側の安定」を作り出すこともでき、リハビリ場面でも取り入れています。

 

先ほどのご利用者様は、寝返りへの準備として筋肉を柔らかくすることが必要でした。

そこで、ご自宅で行えるストレッチをアドバイスいたしました。

両腕を組んで、そのまま頭の方へ倒します。

そうすると背中や脇の下の筋肉が伸びてきます。

寝返りの時に必要な筋肉の長さや柔らかさを引き出すのが狙いです。

また、左への寝返りの準備としての動作もアドバイスをいたしました。

麻痺側へ寝返りをして肩を痛めないための動きにもなります。

 

枕を高くしてあおむけになります。そこからゆっくり左側へ寝返ります。

頭が高い位置にあると、左の体側~股関節にかけて体重がかかります。

 

「これなら肩も痛くないし、左側に体重がのるのがわかる。」

「家でもできそう。」と、ご自宅でのリハビリにも前向きになられました。

 

睡眠の質が低下すると、心身の不調をきたしやすいです。

元気に前向きな生活をおくるためにも、左右に寝返りが打て、「安楽に眠れること」「熟睡」できることは大切ですね。

 

2020.05.22

頚や肩が楽になった!

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の作業療法士の小林です。

 

脳卒中を発症してから20年以上経過しているご利用者様から

「発症してから、ずっと、左側(麻痺側)の頚や肩が重だるかった。」

「今までいろいろなことを試しても辛かったけど、最近楽になってきてうれしい。」

と、私たちにもうれしいお言葉をいただきました。

 

「何をしたのですか?」

それは上肢の重さが少し改善してきたからです。

腕を支える筋肉が活動できるようにするアプローチを鍼灸とリハビリで行ってきました。

 

当施設では、最初に60分鍼灸を受けていただきます。

鍼灸では、施術によって血液の循環がよくなり、筋肉や関節周辺の組織の緊張がほぐれやすくなります。

 

ご利用者様は、麻痺側の腕を支えるために、麻痺側の頚部を固定させたり、麻痺側の僧帽筋上部、肩甲挙筋で止めていらっしゃいました。

また。非麻痺側の頚部や肩も代償的な固定がみられました。

鍼灸で、その硬い組織に血液が流れるような施術を行いました。

 

リハビリでは麻痺側の腕を支える筋肉が活動できるようなアプローチを行います。

麻痺側の腕の重さや、非麻痺側の代償固定がみられるため、両方の体幹の捻じれがみられたため、体幹が左右対称に近づくように修正を行いました。

 

また、麻痺側体重をかけて、手に感覚を入力、アクティブな上肢の動きを出すことを行いました。

ご利用者様は、麻痺側に体重をかけて安定した姿勢を作ると、手指や上肢の運動が行いやすくなります。

そうすることで、ご利用者様は、麻痺側の上肢の筋活動をご自身で作り出すことが可能なのです。

 

 

環境設定を行いながら、抗重力位での筋肉を活動すること行っています。

肩や頚でがんばろうとせずに、指先から手があがるような反応を引き出していきます。

運動を行っていくと徐々にご利用者様の動きとなっていき麻痺側の腕が軽くなってくるのが、セラピストの手に伝わってきます。

重く、ぶら下がっているだけだった腕が、ちょっとずつですが、腕が支えられるようになり、ご自分の体の一部になってきました。

上着を着る際に何気なく、左腕が袖を迎えに行く場面もみられてきています。

 

発症から経過が長くても上肢・手が生き生きしてくることをご利用者様を通して感じています。

 

「左手でコンビニの袋が持ちたい!」

ご利用者様のご希望に向かって、私たちも一生懸命がんばります!

 

 

 

2020.05.15

きっかけ てがかり

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス脳梗塞リハビリステーション滋賀」の作業療法士の小林です。

 

「麻痺側の足へ体重をのせたいのだけど、わからない。」

「自分では麻痺している方に体重をのせているつもりなんだよね。」

 

ご利用者様からよくそのようなお話を伺います。

 

立位で麻痺側へ体重をのせようとしたり、左右の足均等に体重をかけようとしても、なかなか難しいですよね。

わからないから、例えば目で足元をみたり、ガラスや鏡に映った姿を見て確認したりしがちです。

しかし、目を使って足やご自身の姿を確認してまうと、麻痺側からの足の情報が感じにくくなってしまうかもしれません。

 

姿勢をコントロールするためには、感覚情報が必要となります。

必要な感覚情報は、

目で物をみる感覚の「視覚」

自分の身体の傾きやスピード、回転を感じる「前庭覚」

自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる「固有受容感覚」となります。

 

文献では、健常者であれば、安定した立位には視覚や前庭覚はほとんど必要とされずに、主に固有感覚受容感覚情報をもとにした姿勢コントロールがされるとのことです。

脳卒中後遺症の方の場合は、筋肉の弱化や感覚障害等の問題により「固有受容感覚情報」での姿勢コントロールが苦手となってしまいます。

そうすると、視覚や前庭感覚に依存しやすくなります。

足もとをみながらの歩行(視覚依存)、頭頚部や眼球を過剰に固定した姿勢(前庭依存)などのパターンになりやすい傾向があります。

 

そのような状態では麻痺側の足に体重をのせるのは、難しいのかなと臨床を通して感じました。

麻痺側の足に体重をのるための「手がかり」があるといいのかなと思いました。

 

そこで、「お手玉」「大豆」等様々な物を使用して「きっかけ」「手がかり」を試しました。

一番実感がありましたのは

「麻痺側の足の小指側に小ペグを入れる」ことでした。

 

作業療法の物品で「ペグ」があります。

その小ペグを麻痺側の足の小指側に入れます。

 

小指側に小ペグがあることで、麻痺側の足に体重がかかるとペグの圧を感じることができます。

このペグの圧を手がかりとして麻痺側の足に体重をかけることを繰り返します。

 

非麻痺側の方に体重が偏ると、麻痺側の足の小指側にあるペグの圧の感覚が弱くなります。

その圧の感覚をご利用者様自身でモニタリングし、麻痺側の足に体重がのっているかどうかをご自身の感覚を使用して確認します。

 

 

実際に行っていただいた方のお話です。

「足の裏になにもない状態だと、ガラスに映った自分の姿で姿勢を確認していた。」

「足の小指側にこれ(小ペグ)があると、それが手がかりとなってこちら(麻痺側)に来るのが分かる。」

「自分で(麻痺側)にこれる、こちら(麻痺側)があるのがわかる。」

「ここがまっすぐだと、いつも自分はいい方へよっていたんだね、気づかなかったよ。」

 

麻痺側の足へ体重がのる手がかりがあったことで、ご自身で麻痺側への支持基底面をアクティブに作ることができたようです。

 

しかし、リハビリでは小ペグがありますが、ご自宅ではありませんよね。

そのため、ご自宅では「鉛筆」を代用して、練習を行っていただいてます。

 

小ペグと同じように麻痺側の足の小指側に入れます。

その方の状態に応じて

「立ち上がり前にしっかり麻痺側の足に体重をのせる。」

「立位で麻痺側の足に体重をのせる。」

等の課題を行っていただきます。

 

ご自宅で行う際の注意点は以下があげられます。

麻痺側の足に浮腫みがある方は、痕になりやすいので、ごく短時間で行うこと。(1分行ったら、痕を確認する等)

感覚障害がある場合は傷をつけてしまう恐れがあるので、素足ではなく靴下を履いて行うか、ご家族様と一緒に行う。(糖尿病の持病がある方も同様です。)

鉛筆が削ってある場合は、鉛筆の芯が皮膚を傷つけてしまう恐れがあるので、キャップを使用すること。

練習を行った後は、傷がついていないか必ず確認をする。

行った際に痛みが出現した場合は中止する。

ご自身一人で不安がある場合は、ご家族様等どなたかと一緒に行う。

立ち上がりも、立位も万が一の転倒を考え、何かにつかまって行う。

 

 

「脳」は正しい「感覚」が入力されないと「効率の良い運動」を出力することが難しくなってしまいます。

「脳」は常に「感覚」を欲しがっています。

損傷された「脳」も「感覚」を欲しがっています。

 

ご自身で感覚を「感じる」ことができると、少しづつ動きも変化するかもしれないですね。

 

 

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