2025.07.04
「麻痺した手が動き出す 脳梗塞からの回復と“自分の手”との再会
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
麻痺していた手が、また少しずつ「自分の手」になっていく。
その過程には、たくさんの驚きと喜びがありました。
今回は、脳梗塞発症から1年半が経ったご利用者様の「手との再会」のエピソードをご紹介します。
「どうせ動かない」と思っていた手が、生活の中で自然に使われるようになるまでのお話です。
「麻痺側の手なんて、どうせ動かないでしょう。」
最初にそう話されたのは、ご利用者様。
脳梗塞を経験され、すでに発症から1年半後。
歩くことはできるけれど、麻痺側の手はむくんだまま、ずっと「ほったらかし」でした。
心配されたご家族様が、リハビリ体験を申し込んでくださったのが出会いでした。
初めてお会いしたとき、 私の目に留まったのは「むくみ」でした。
手のむくみは、感覚や運動を妨げてしまいます。
さっそく、手のむくみを軽減させ、タオルで指1本ずつに感覚刺激を行うと、 なんと指がわずかに動いたのです。
「……動いた……」
その瞬間、ご本人の表情が変わりました。
「頭の中には、指1本ずつに“住所”があるんですよ。」 私はそう伝えました。
そこから、手の中の筋肉(手内在筋)を活性化する練習へ。 ペットボトルを握る動作を取り入れました。
帰るとき、指で対立運動を繰り返しながら、 にこにこと笑っておられた姿が印象的でした。
まるで、「自分の体に反応が返ってくる」のが楽しくてたまらないかのように。
「やったことが、自分の体に返ってくるのが嬉しい。」 「動かすのが楽しい。こんなことできるんだ。」
そんな言葉がご本人から聞かれた日。
私の頭に浮かんだのは、「子どもの感覚遊び」でした。
子どもは、手を動かして、何かに触れて、反応が返ってくると、 うれしくなって、また同じことを繰り返します。
大人になっても、私たちは、自分の体に反応が返ってくると嬉しいのです。
「からだが、自分のものとして戻ってくる」 それは、ただの機能回復ではなく、動くたびに、私の体だと感じられるようになった、
その瞬間から、ご利用者様のリハビリは「やらされるもの」ではなく「自分のために続けたいこと」に変わっていきました。
その後、リハビリを続けて4ヶ月半。
ご家族様はこう話されました。
「本人が、麻痺している手をすごく気にするようになりました。」 「買い物、片付け、料理など、使う頻度がぐんと増えたんです。」 「タオルで指を1本ずつこすっているんですよ、家でも。」
最近では、 ・スーパーで両手でカートを押して歩く姿 ・掃除機をかける時、両手を使っている様子 など、日常生活の中で「自然に手が使われている」瞬間が増えているとのことでした。
ほんの小さな感覚との出会いが、 こんなにも日々の行動を変える力を持っている。
「感覚を取り戻すこと」は、 「手を動かすことができるようになる」だけではなく、 「もう一度、自分の手として、感じること」につながっていくのだと 改めて実感しています。
ただ、「動くようになる」だけではなく、「その人らしい姿」が戻ってくる。
そんな時間のきらめきを、ご利用者様から確かに感じました。
同じように「もう麻痺側の手は使えないかも…」と感じている方や、「動く喜びを、もう一度取り戻したい」と願う方がいらっしゃいましたら、
どうぞお気軽にご相談ください。
私たちはこれからも、 ただ「できるようにする。」だけではなく、 「うれしくて続けたくなる。」リハビリを大切にしていきたいと思います。
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