2020.06.12
立ち上がりでの気づき
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」作業療法士の小林です。
「立つときや、立位の時にこっち(麻痺側)の足に体重がのりにくい。」
そう、ご利用者様はお話をされました。
立ち上がのり評価を行うと、動作前にすっと非麻痺側の足をひき、直後に立ち上がりを行いました。
このような動作ですと、麻痺側の足を使用しない動作となります。
開始前の座位姿勢では、体幹の非対称性の強さも見られました。
体幹の非対称性が強いと、立ち上がり動作の時に、麻痺側の足に体重がのせることが難しくなってしまう場合があります。
もしかしたら、立ち上がりの時に麻痺側の足に体重がのせられないのは、体幹の非対称性も問題の一つではと推測しました。
ご利用者様とこの日の目標を「立ち上がりの時に左右の足をバランスよく使用する」と設定しました。
まず、長座位となり、膝の下にタオルを入れました。
ご利用者様は、入院中車いす生活が長かったため、ハムストリングスの短縮が強く、膝の伸展制限がみられました。
きちんと立位姿勢をとるためにも、ハムストリングスの長さは必要です。
その姿勢から麻痺側の体幹の捻じれを修正していきます。
ご利用者様の動きをセラピストがアシストしながら、体幹を左右対称に近づけます。
体幹が修正できましたら、太ももの裏の筋肉、ハムストリングスの長さを変えるために、ご利用者様に膝を軽く曲げて、そこから膝裏でタオルを押し付ける運動を行いました。
ご利用者様の動きで行っていくと、徐々に膝の伸展が出現し、最後は膝がベッド面につくくらいまで膝が伸びました。
「最初、膝が曲がっていたけど、今は、膝が伸びている!」
ご利用者様は膝がのびたことに驚かれました。
静的ストレッチよりも、ご自身の動きを使用してのストレッチのほうが膝が伸びたことを実感していただけました。
立ち上がり、立位の左右の足をバランスよく使用するために、今回は「積み木の上に立つ」ことを行いました。
積み木の上は不安定です。そのため、バランスをとるために足の内在筋を使用します。
また、積み木の角が足底への情報になり、自分自身でのモニタリングも可能となります。
まず、座位の時に足底に積み木を入れます。
そこから体重移動を行い、両足均等に体重がかかった時の積み木からの情報をご利用者様自身で知覚していただきます。
その後、立ち上がり、立位保持を行います。
一回目の時、立った後に非麻痺側の足を引いてしまったため、積み木が崩れてしまいました。
そのため、立位保持ができませんでした。
「今、いい方の足を引いてしまったので、積み木が崩れてしまいましたね。」
セラピストがフィードバックを行いました。
「自分では、足を引いているなんて気づかなかった。でも、積み木が崩れてしまったのはそれが原因だよね。」
「ずっと、左側(麻痺側)の積み木を感じていないと、左右均等にはならないんだね。」
ご利用者様はご自分で「積み木」の上にのる意味をご理解されたので、再び積み木を使用しての立ち上がり、立位の練習を再開しました。
「いつも麻痺側に体重をかけているつもりだったけど、いい方でがんばっていた。」
「今は、積み木は両方の足同じくらい感じます。」
練習中、ご自身で気づいたことを、セラピストに伝えてくださいました。
再評価での立ち上がり動作では、非麻痺側の足を引かずに立ち上がり動作が行えました。
また、膝の伸展もしっかり出現し、立位姿勢もすっと上へ伸びていました。
「足をひかないで、立てました!」「いつもより、膝も伸びている!」
ご利用者様はうれしそうにおっしゃいました。
立ち上がりの時に麻痺側に体重をかけれない理由は様々あります。
お一人、お一人原因は異なることもあります。
インテークし、動作の評価、オンハンズでの評価を行い、リーズニングをすることの大切さを改めて感じました。
今後もお一人お一人に合わせた適切なリハビリが提供できるよう、スタッフ一同がんばります!
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