2020.06.03
寝返り
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の作業療法士の小林です。
「こちら側(麻痺側)に寝返りをするのは、すごく久しぶり。」
「なんか、懐かしい感じがするね。」
麻痺側への寝返りを行ったときに、ご利用者様がおっしゃいました。
ご利用者様の両側の頚から肩、背中、腰の皮膚や筋肉がパンパンにはりつめていたので、たずねてみました。
「もしかして、寝ている時はあまり寝返りはうたないですか?」
「そうそう、ほとんど真っ直ぐなまんまで寝ているの。だがらなのか、あんまりぐっすり寝られた感じがしないの。」
脳卒中後遺症の方で、麻痺側への寝返りが難しかったり、睡眠されている時の寝返りの回数が少ない方に出会います。
皆さんおっしゃるのは、
「寝ている時間は多いのだけど、熟睡した感じがしない。」
「朝起きると体の強張りが強い。」
「自分では寝ている感じはしないのに、家族は寝ていたと言う。」
など様々ですが、共通しているのは
「安楽に寝れていない。」
「熟睡感がえられない。」
と言うことではないでしょうか。
睡眠の質の一つの指標に寝返りの回数があります。
一晩で寝返りを打つ回数は人それぞれですが、平均すると10~30回と言われています。
では、なぜ、寝返りが大切かと言うと、同じ姿勢で眠り続けると体が寝具と接している箇所だけに圧力がかかり続けますよね。
寝返りを打つことで筋肉や骨の負荷を分散し、特定の部分にダメージが集中しないように体を守ってくれます。
そうすることで、体への負担が極力少なくなり、快適に眠ることができます。
(この図は快眠タイムズ様からお借りいたしました)
寝ている時は図のように体の各部位へ荷重がかかります。
体重が60kgの方でしたら、腰には26.4kgの圧がかかります。
寝返りが少ないと、体への負担が大きいことがこの図から想像できますね。
私も腰を痛めた時に寝返りが少なくなったことがありました。
起きた時に、筋肉がこわばっていて、良く眠れた感じがしませんでした。
また、寝返りには血液やリンパ液の循環を促してくれているそうです。
体調を整えるためにも寝返りは睡眠時の重要な動きですね。
麻痺側への寝返りも大切です。
麻痺側を下にすることで、床反力が麻痺側へ伝わりやすくなり、麻痺側への筋緊張を調整したり、感覚入力を促すことができます。
「麻痺側への荷重」「麻痺側の安定」を作り出すこともでき、リハビリ場面でも取り入れています。
先ほどのご利用者様は、寝返りへの準備として筋肉を柔らかくすることが必要でした。
そこで、ご自宅で行えるストレッチをアドバイスいたしました。
両腕を組んで、そのまま頭の方へ倒します。
そうすると背中や脇の下の筋肉が伸びてきます。
寝返りの時に必要な筋肉の長さや柔らかさを引き出すのが狙いです。
また、左への寝返りの準備としての動作もアドバイスをいたしました。
麻痺側へ寝返りをして肩を痛めないための動きにもなります。
枕を高くしてあおむけになります。そこからゆっくり左側へ寝返ります。
頭が高い位置にあると、左の体側~股関節にかけて体重がかかります。
「これなら肩も痛くないし、左側に体重がのるのがわかる。」
「家でもできそう。」と、ご自宅でのリハビリにも前向きになられました。
睡眠の質が低下すると、心身の不調をきたしやすいです。
元気に前向きな生活をおくるためにも、左右に寝返りが打て、「安楽に眠れること」「熟睡」できることは大切ですね。
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