2025.11.06
「起き上がる」って、こんなにも大変。 ― 重さを感じさせず、“動き出す力”を引き出すリハビリを求めて ―
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
先日、勉強会で片麻痺の方を想定した寝返り・起き上がり動作の体験を行いました。
リハ滋賀でもスタッフ全員で、「感じて、考える」時間として共有しました。
◆ 鍼灸師・草川さんの体験
まず体験したのは、鍼灸師の草川さん。
左手と左足に重りをつけ、ベッドの左側半分を外に出して、
脳卒中で左片麻痺になった方の寝姿勢を模擬します。
最初のひとことは――
「落ちそう」「重い……」

そこから寝返り、起き上がりに挑戦。
「え?」「どうやるの?」「無理……」と、思わず言葉がもれます。
右手と右足をめいっぱい使って、何とか体を起こそうとするものの、
「腰が痛い」「肩がしんどい」――動作のたびに体の悲鳴が聞こえました。
1回、2回と繰り返すうちに、3回目にはもう「無理」「しんどい」とぐったり。
「1日に何回もこんな動作をしていたら、心が折れる。起き上がるのがつらいなら、動きたくなくなってしまう」
と、率直な感想を話してくれました。
◆ 私(小林)の体験
次に、私自身も体験しました。
重い手足、不安定な体。
動こうとしても、重りがまるで抵抗運動のように働き、身体が言うことを聞かない。

使える側の手足をフルに使って、なんとか寝返り、起き上がり。
かかった時間は33秒。
通常の起き上がりよりも、はるかに長い時間です。
その33秒の間に感じたのは、
普段、手足や体の重さを感じずに「動けていること」が、どれほどすごいことなのか。
そして、「手足が重い」という状態が、
いかに日常動作を難しくするかという現実でした。

◆ 重力の中で生きる私たち
地球では、重力下で生きることが大前提。
私たちは日常の中で、知らず知らずのうちに
重力に抗い、重力に従いながら動いています。
その環境で「自分の手足や体が重い」ということは、それだけで大きな負担。
だからこそ、少しでも手足や体を軽く感じられるように整えることが、
“動きやすさ”と“やる気”を取り戻す第一歩になります。
◆ “重さを感じさせない”アプローチ
体験の最後に、草川さんには**「手の重さを感じさせず、軽く感じられるようにする起き上がり」**を再度体験してもらいました。
手や指から丁寧に感覚入力を行い、
上肢の重さを軽く感じられる状態に整えたうえで、
リーチ(手を伸ばす動き)から寝返り・起き上がりへとつなげます。
すると、腕がふっと軽くなり、
自分で体を動かす感覚が戻ってくる。
結果として、良い方の手で「引っ張る」といった強い代償ではなく、
自然で機能的な動きが生まれました。
草川さんの感想は――
「すごく楽。変な力も入らないし、手のがんばりもいらない。」
そして、少し間を置いて、
「この楽な起き上がりができたら、泣く方が少なくなると思う。」
と静かに話されました。
◆ “動き出す力”を引き出すリハビリ
この一言には、リハビリの本質が詰まっています。
力で動かすのではなく、
軽く感じられる身体を整え、ご本人の中にある“動き出す力”を引き出す。
それが、私たちが目指すリハビリのかたちです。
感覚を通して、重さがふっと軽くなり、
そこから自然に生まれていく動き。
それは、私たちが「動かした」からではなく、
ご本人の中にある“動く力”が引き出された瞬間。
リハビリとは、
その力を感じ、導く営みなのだと改めて感じました。
◆ おわりに
軽く感じられる身体は、心も前向きにする。
動きが生まれる瞬間には、笑顔が生まれる。
Body and mind, more active.

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