2025.10.29
装具の形になった足――感じる力を取り戻すリハビリ ― 足が再び“自分のもの”になっていく過程 ―
滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
脳梗塞リハビリステーション滋賀に来られる方の多くは、
「せめて部屋の中では装具を外したい」
「できれば、装具なしで歩けるようになりたい」
と話されます。
“装具を使うかどうか”は、単なる道具の問題ではなく、
自分の足で生きていきたいという願いの表れです。
■装具の形になった足
リハビリの現場では、装具を長く使っている方の足が、
まるで装具の形のまま固まっていることがあります。
内反気味で、足首や中足部の動きが少なく、
足全体がひとつの“かたまり”のようになってしまう。
これは、安全を守るための固定の結果でもあります。
けれど、その状態では、足が本来もっている
小さな“たわみ”や“ゆらぎ”――アクセサリームーブメントが失われてしまうのです。
■アクセサリームーブメントとは
立ったり歩いたりするとき、足はわずかに動きながら
バランスを取っています。
これが、アクセサリームーブメント。
意識して動かせるものではなく、
関節や筋、皮膚が感じ取りながら自然に出る“微細な動き”です。
装具を長く使うと、この動きが出にくくなり、
バランスを取るときに不利な体になってしまいます。
■足から情報を取り込める準備を
アクセサリームーブメントは随意的に出せません。
だからまず、足を整えることが大切です。
足関節や足部のモビライゼーション
皮膚・筋膜の粘弾性を高めるタッチ
足底・足背へのやさしい感覚入力
これらを通して、足から情報を取り込める準備をつくります。
足が感じ取れるようになると、立ったときのふらつきが減り、
洗面所やお風呂など日常の立位場面でも安定しやすくなります。
そして、高座位などで対称的に立てる環境を整え、
短時間でも装具なしで立つ練習へ。
少しずつ、足の裏から感覚が戻ってくると、
過敏さが減り、お風呂のときに足趾がギュッと曲がる反応も減っていきます。
■装具をつけても歩きが変わる
不思議なことに、
装具を外して足を整える練習をすると、
装具をつけて歩いたときの歩き方も良くなることがあります。
「足が軽い!」
「前に出やすい!」
そんな言葉を聞くたびに、
“足が再び自分の足として働き始めたんだな”と感じます。
■真ん中を見つけるリハビリ
装具は、難しい問題です。
安全を守ってくれる一方で、
からだの働きを制限してしまうこともある。
「外すべき」「外さないべき」と
白黒つけることはできません。
大切なのは、真ん中を見つけること。
その人にとっての“ちょうどいい支え方”を、
一緒に探していくことだと思います。
装具があることで動けるなら、それでいい。
装具を外すことで、自分の足を感じられるなら、それもいい。
どちらの選択にも意味があります。
大切なのは、本人が納得して選ぶこと。
そして私たちは、その選択を支える存在でありたい――
それが、リハ滋賀のリハビリです。

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