脳梗塞リハビリステーション滋賀

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2025.09.18

「体はつながっている」

滋賀県守山市にあります自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。

 

「足から手へ──感覚は脳を動かす大切な情報」

体はバラバラに動いているように見えて、実は深いつながりがあります。
そのことを感じさせてくれる、不思議で嬉しい瞬間がありました。
今日はそのエピソードをご紹介します。

 

◆ ある日のリハビリ

ご利用者様の麻痺側の足に、立ち上がりの中で少しずつ体重をかけてもらった後のことです。
それまではあまり動かなかった手の指先が、ふっと軽く動き出しました。

「えっ、なんで? 足に体重をかけただけなのに…」
ご利用者様も、ご家族様も驚かれる瞬間でした。

 

◆ なぜ起こるの?

体は、バラバラに動いているのではなく、実は全体がつながっています。

足に体重をかけると、**足の裏や関節のセンサー(感覚)**が脳に伝わります。

その刺激が重力に対して「体を安定させる」働きを強めます。

すると脳は「手を動かす準備が整った」と感じ、指や上肢の動きも出やすくなるのです。

つまり、足からの小さな感覚が、脳のネットワークを通じて手の動きにもつながるのです。

 

◆京都大学と量子科学技術研究開発機構の研究グループの発見

2021年、京都大学と量子科学技術研究開発機構の研究グループは「手と足の感覚は脳の中で影響し合っている」という発見を報告しています。
従来は手と足は別々に働くと思われてきましたが、脳ではお互いに刺激し合い、活動が広がることが分かってきたのです。

これは、リハビリで「足からの刺激が手の改善につながる」ことを裏付けてくれる大切な知見です。

 

◆ 注意の力も働く

さら2022年Aizuらの研究では、
「人は手や足といった身体の一部に、特別に注意を向ける力を持っている」ことが示されています。

しかも、覚が鈍くなった部位には、逆に脳がより注意を向けて補おうとする傾向もあるのです。

今回の事例で「麻痺側の足に体重をのせて感覚が強まった」ことは、脳がそこに注意を集中しやすくし、その影響が手の動きにも波及した、と考えることができます。

 

◆ 小さな気づきが一歩に

足に体重をのせる、足の裏で床を感じる
そんな小さな工夫が、思いがけず手や指の回復につながることがあります。

体は一つにつながっている。
そして脳は、必要なところに注意を向けて助けようとしています。

だからこそ、あきらめずに小さな挑戦を重ねていけば、大きな回復のきっかけになるのです。

 

◆ さいごに

リハビリは「手だけ」「足だけ」を鍛えるものではありません。
体のつながりと脳の注意を活かして、全体のバランスを整えることで、新しい可能性が広がります。

小さな工夫が、大きな回復のきっかけになります。
脳卒中のリハビリは、体を動かすように見えて、実は“脳のリハビリ”。
だからこそ、あきらめずに一歩ずつ積み重ねていくことが大切です。

 

普段何気ないの体験の中にも、思いがけない「小さなきっかけ」が隠れているかもしれません。
「こんなときに体が動きやすかった」「この工夫が役に立った」
ぜひ、私たちに教えていただけると嬉しいです。

 

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