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2022.10.11

座っている時間が長いほど……

滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。

 

普段、日常生活でテレビを見ていたり、パソコン、スマホを使用していて「つい長い時間、何時間も座りっぱなしだった。」「気がついたら、ずっと座りっぱなしだった。」はよくあることですよね。

 

「座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する」

どきっとするような一文ですね。

 

こちらは、京都府立医科大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学の講師小山晃英先生らの研究グループが2021年発表したものです。

小山先生の研究グループは、64,456名(男性29,002名、女性35,434名)を平均7.7年間追跡したデーターを用いました。

 

睡眠時間を除く日中の行動時間は、国際標準化身体活動質問票をベースとしたものを用い、日中の座位時間と全死亡(全ての死因を含む)の関係を、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無と、余暇時間の身体活動量に分け検討しました。

 

その結果以下のことが明らかになりました。

①日本人の大規模研究として、初めて仕事中の時間および余暇時間を含む日中の座位時間が長いほど死亡と関係することが明らかになった。

②高血圧、脂質異常症、糖尿病の有無に関わらず、日中の座位時間の長さに伴い死亡リスクは高くなる。また、高血圧、脂質異常症、糖尿病の保有数が増えるほど、死亡リスクが高くなることが認められた。

➂余暇の身体活動量を増やしても、日中の座位時間の長さと死亡の関連を完全に抑制するには至らないことが明らかになった。

 

この研究では、日中の座位時間を①5時間未満②5時間から7時間未満➂7時間から9時間未満④9時間以上の4群にわけて解析を行いました。

 

その結果、参加者全体では、日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡リスクは15%増加することが示されました。

生活習慣病がない人は、日中の座位時間が2時間増えるごとに死亡率が13%上昇しました。

 

生活習慣病があると、死亡リスクはさらに上昇します。

そこで、生活習慣病ごとに見てみると、脂質異常者では18%、高血圧では20%、糖尿病では27%の死亡リスクの増加が認められました。

(出典 京都府立医科大学 プレスリリース 2021年)

 

さらに生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の保有数に応じて、座位時間と死亡の関係は大きくなりました。

生活習慣病の保有数1は死亡リスク18%、保有数2は死亡リスク19%、3つ全て保有している人は42%も死亡リスクが高くなることが示されました。

 

(出典 京都府立医科大学 プレスリリース 2021年)

 

「じゃあ、休みの日とかにまとめてジムに行ったりして体を動かす、運動すれば帳消しになるのでは?」と思いますよね。

私もそう思っていました。

 

しかし、この研究ではさらに身体活動量が増えると座位時間が長いことによる死亡リスクを下げることができるかを検討しました。

余暇時間中の身体活動(METs:身体活動の強度基準)の量に応じて4群に分けて解析しました。

 

(出典 京都府立医科大学 プレスリリース 2021年)

 

上のグラフではQ1がもっとも身体活動量の少ないグループ、Q4がもっとも身体活動量の多かったグループ別の座位時間と死亡率を示したものです。

図の左から右に行くほど、身体活動量が多い人たちということになります。

しかし、糖尿病を除くと、ほとんど死亡率に変化が見られません。

つまり、余暇時間にいくら身体活動量を増やしても、座位時間が増えることで増加した死亡率の増加は解消されなかったのです。

長時間座っている限り、休みの日にまとめて身体活動量を増やしても帳消しにはならないのですね。

 

ちなみに「身体活動」という言葉はあまり聞きなれないですよね。

「健康づくりのための身体活動基準2013」において、身体活動・運動・生活活動は以下のとおりに定義されました。

「身体活動」:安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動作のこと。

「運動」:身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施し、継続性のある活動。

「生活活動」:身体活動のうち、日常生活における労働、家事、通勤・通学などです。

 

 

「余暇の身体活動量を増やしても、座位時間が及ぼす健康影響の減少効果はわずかであることから、成人の座っている時間の短縮を実践することが求められます。」

と、小山先生の研究グループは述べています。

「連続する座位時間を中断することの重要性も報告されているため、こまめに動くことで連続した座位時間をなくす心掛けを持つことが大事だと考えています。」と最後にまとめられています。

 

ご利用者様の中には「仕事中も、ずっと座っていると足が固まる感じがするから、1時間に1回は立って歩いている」方もいらっしゃいます。

 

日常生活をしていると「座らない」ということは難しいです。

しかし、「座り続ける」「座りっぱなし」「座りすぎ」は健康を害することが様々は研究でわかってきています。

30分に1回立ち上がり動くと、座りすぎの健康リスクを軽減すると言われています。

無理せず、少しずつ体を動かす機会を増やしていきましょう。

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