脳梗塞リハビリステーション滋賀

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2025.10.28

「『手は動くからリハビリはいらない』-その言葉の奥に隠れていた”指先の感覚”」

滋賀県守山市にあります自費リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。

 

「手は動くから、リハビリはいらないと思っていました。」
そんな言葉から始まった、あるご利用者様との出会いがありました。

 

その方は、脳出血の後遺症で足先や指先に軽いしびれが残っていました。

指は一見よく動いていて、分離運動も可能です。

だから入院中も「手のリハビリ」を受ける機会はほとんどなかったそうです。

 

けれど実際に指の動きを拝見すると、なんとなく違和感を感じました。
そこで、指を開いたり閉じたりする動きを一緒に試してみると、隠れていましたぎこちなさが見えてきました。

 

■ご利用者様の体験

まず取り組んだのは「動かす練習」ではなく、皮膚や関節、骨間の柔軟性をゆっくり引き出すこと。
そのあとに、指を開いたり閉じたりする動きを一緒に行いました。

 

すると――
「指がすごく動きやすい!」
「ぽかぽかしてきた。触ってみてください。ほら、温かいでしょう。」

ご自身の手を差し出しながら、笑顔でそう伝えてくださいました。
「こんな感覚、はじめて」と喜ばれたその表情は、私の心にも強く残りました。

 

■リハビリの視点

リハビリの視点から見れば、これは内在筋のセンサー機能が目覚めた瞬間だと考えられます。

 

内在筋には、指を動かすだけでなく「どのくらい力を入れるか」「どこまで伸びたか」を感じ取るセンサーの役割があります。

感覚障害や筋の硬さがあると、そのセンサーが働きにくくなり、「一見動いているのに、微細な調整が難しい」という状態になります。

皮膚や関節の柔軟性を取り戻し、内在筋を働かせると、血流も改善し、動きと感覚の統合が生まれやすくなるのです。

 

だからこそ、「指が温かい」「感じやすい」とご本人が自覚できたことは、単なる一時的な変化ではなく、自己感覚(自分の手を自分のものとして感じる感覚)の改善を意味しています。

 

■動くことと“感じること”

リハビリは「動きを取り戻すこと」と思われがちですが、本当はそれだけではありません。

動かせるだけでなく、力加減を調整できること。

“自分の手”として感じられること。

その両方がそろって、はじめて生活の中で“使いやすい手”になるのです。

 

■終わりに

脳出血後の後遺症で「動くから大丈夫」とされていた手。
けれど、そこに**隠れていた“感じにくさ”**に光を当てることで、ご本人は新しい喜びを見つけられました。

 

リハビリは、からだを取り戻すだけでなく、
「自分の感覚を取り戻す時間」でもあります。

 

これからもひとつひとつの指先に寄り添いながら、
“感じる手・使いやすい手”を育てていきたいと思います。

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