2024.07.25
両手を使うの大切
滋賀県守山市にあります保険外リハビリサービス「脳梗塞リハビリステーション滋賀」の小林です。
「麻痺側の手をよくしたい」と当施設をご利用されている方との会話から考えさせられたことがあります。
「麻痺側の手が使えなくて何か困っていることはございませんか?」
「いいほうで全部やっているから大丈夫。何も困っていないよ。」
ご本人様からは「麻痺側の手がよくなりたい。」とのお話を伺っていたため、この発言に非常に違和感を持ちました。
そこで、このような質問をしました。
「ご病気する前はお料理などの家事や生活に両手を使ってされていましたよね。」
少し考えられた後
「……そうだ。両手を使っていたね。すっかり忘れてたよ。」
「亜脱臼があり終日アームスリングをしている」「腕が重い」「上肢、手の感覚がない」「いいほうの手で物事をやった方が早い」等の理由から麻痺肢を使用しない状態が長く続くことで、麻痺肢を使用しないことを学ぶ“学習性不使用(Learned nonuse)として知られています。
このご利用者様もご病気を発症されてから退院後の現在まで、アームスリングを入浴と睡眠時以外は着用されています。
そのため、麻痺側の上肢や手を使用する機会が失われていました。
ご本人様は「何も動かない手」と話されましたが、物を握ることはできました。
そこで、この日のリハビリは、いつも非麻痺側のみで行っている包丁操作を麻痺側を使用した両手で行いました。
麻痺側の手で切る素材を押さえ、非麻痺側で包丁操作を行うと、麻痺側への加重と押さえる手の力が見られました。
「手に力が入るのがわかった。」
「こっち(麻痺側)を使って両手でやらないとだめだなーと気づいたよ。」
「両手を使うの大切!」
そう、両手での包丁操作後に仰られました。
その後の立位時、麻痺側への下肢の加重も自然に行っていました。
ついついこちらが「麻痺側も使ってください。使ってください。」と言いがちです。
しかしご利用者様とって「意味ある課題」ではご自身で気づかれることが沢山あることにも改めて感じました。
臨床から学ぶことが多い時間でした。
今週は「こっち(麻痺側)で包丁が持てるようになりたい。」と具体的な目標をご自身でお話をされました。
ご利用者様の目標に少しでも近づけるようにスタッフ一同がんばります!
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